電撃ゲーム小説大賞

第8回 電撃ゲーム3大賞 入賞作品

選考委員奨励賞

「A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]」

作/高橋弥七郎 (大阪府)

受賞作品

電撃文庫

「A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]」

ディビジョン駆除商会のA/B=アンディとボギーは、<ゾーン>―次元の内に存在する空間― に巣食う謎の怪物・グレムリン退治を生業にする駆除屋である。彼らはある日、星系開発公団から巨大資源採掘船<エンペラー>に発生したグレムリン駆除と二人の重要人物の救出を依頼される。
A/Bは他の駆除屋と共に<エンペラー>に突入するのだが、そこには宇宙船ジャックという予想外の事態が……!

作者作品一覧

プロフィール

1972年大阪生まれの大阪育ちの大阪在中という、素性に工夫の足りない大阪人。
会話にオチを求めるらしい。小説における本来の生息地は時代物とファンタジーのはずだが、どこをどう間違ったのか、SF(もどき)作品で第8回電撃ゲーム小説大賞<選考委員奨励賞>をギリギリ受賞、周囲の顰蹙と爆笑を買っている。『他人を二重三重に疑い、自分は本音を語らない』という人として破綻した性格が、作中の世界観や人物の言動に如実に反映されている、とは友人の評。

あらすじ

<ゾーン>という次元の内に展開する異空間の発見により、『内向きに発展する』人類社会。その<ゾーン>に巣食う謎の怪物・グレムリンを退治する駆除屋である、ディビジョン駆除商会のA/B、アンディとボギーはある日、大企業・星系開発公団から巨大資源採掘船<エンペラー>の展開<ゾーン>内に発生したグレムリン駆除の依頼を受ける。巨額の報酬を約し、多数の駆除屋をかき集めるというこの異例の裏には、二人の行方不明者の救出という命題が隠されていた。世界的偉人であるクルップ博士、そして公団会長令嬢である技術士官ユミナ……公団の信用問題と、全くの私事。公団は密かに後者を優先させるため、駆除屋を迅速に<ゾーン>に送り込もうとしていたのだった。
<ゾーン>内動力機関へと駆除屋たちは突入するが、そこには思いがけない罠が待ち構えていた。グレムリンではない何者かに一網打尽にされる駆除屋たち。しかし、とある事情からその罠を見破ったA/Bは、別途から進入を果たす。謎の一団との交戦を経て、ユミナやその護衛官らと合流した二人は、驚くべき内情を知らされる。グレムリンの制御に成功した博士が、<エンペラー>乗っ取りをはかって警護部隊と共に反乱を起こしたというのだ。急ぎユミナらを逃し、機関の奥へと突入する二人。そこで彼らは、<エンペラー>にまつわる[星追い]というキ-ワードによって事態の本質を知ることになる。そしてすべての決着の時を見るのだった――!
息を着かせぬハイエンドな戦闘シーンと、洗練されたシャープなストーリー。SFの殻を破り、新しいベクトルの可能性を感じさせる作品。

選考委員選評

深沢美潮

審査員の評価が割れた作品です。たしかに小説というより脚本、もしくはゲームの設定資料、テキスト部分の抜き書き的な作品かもしれません。しかし、切るには大変惜しい作品であることも事実。というのも、所々の地の部分の描写などに光るものがあり、物語も構成を変えればとてもよくなる可能性を秘めていたからです。頑張ってください。

広井王子

全体に解りづらかった。内容がなかなか頭に入ってこない。主人公のアンドロイドとロボットの描写についても圧倒的に描写不足。キャラクターが思い描くことが出来ないと、当然話に入っていきづらくなる。

安田均

SFものだが、特殊な戦闘用語はイメージだけの粗削りな文章にしか映らない。小説というからには、それを'効果'と納得させるだけの用法でのセンスがほしい。主人公キャラクターはおもしろいし、戦闘シーンに隠れる形だが、'星追い'のSFとしての雰囲気はすぐれている。ただ、戦闘シーンをメインに描きたくて、SF設定にはあまり興味がないかのように見えるのは損だ。ゲーム的という意味では一番だが、全体に粗い。

松本悟

大作である。話としては非常に面白かった。しかし読んでいて全体が頭に入りづらかった。それは使っている単語が難しい為にその都度前を読み直さなくてはならなかったからだと思います。
この様にサイバー世界、バーチャルな世界を描く場合はドラマと設定は逆に単純明快にしないと全体の話がのみこみ辛くなる。感情移入し易く、ビジュアルを想像させる表現がほしかった。
但し、この作品は文章的には難しいが、映画「マトリックス」のように映像になると面白く楽しめるものになると思う。それだけに一つ一つのパーツをもっと丁寧に表現してほしかったと思います。

佐藤辰男(メディアワークス社長)

世界観や用語がむずかしいので、筋を追うのに苦労した。苦労して読んでみると、物語としてはよくできているし、結末も気が利いているだけに、おしい。文章のリズムを殺さない程度に、わかりやすさを追求して欲しかった。

鈴木一智(電撃文庫編集長)

文体に独特のクセがありますが、描写力は巧みです。
浮かんでくるシーンは非常に映像的で、キャラクターのルックスもまたユニークです。コミック、アニメ等に展開するのも面白いでしょう。独特の世界観が魅力の作品です。