電撃イラスト大賞

第15回 電撃大賞 入賞作品

金賞

岩城拓郎 (埼玉県)

想定電撃文庫作品 「ミミズクと夜の王」

受賞後作品

電撃文庫

雪蟷螂

『ミミズク』 『MAMA』 に続く、“人喰いの物語” 最終譚。

著者  : 紅玉いづき
イラスト: 岩城拓郎
定価  : 578円(税込)
発売日 : 2009年2月10日
備考  : A6判/312ページ
ISBN: 978-4-04-867523-9

プロフィール

映画をよく見る。読書はたまにする。図書館には結構行っている。傘をよく電車に忘れて困る。音楽は主にサントラを聴く。時々J-popも聞く。ジェイポップという響きが好き。時々走っている。菓子をよく食べる。よっちゃんイカをよく食べる。母親に電話する度に 「ちゃんと食べてるのかい?」 と言われる。イカはよく食べている。電車の窓から見える流れる風景が好き。お笑い番組を見ているのが好き。絵を描くのが好き。そんな奴。

受賞者コメント

挿絵のない文庫本である 『ミミズクと夜の王』 を読んだ時、その感動的な物語と、陰鬱だけれども優しげな世界感や、キャラクター達に魅了され、次々と私の脳裏にイメージが浮かびました。何とかソレらを 「絵」 として紙に写し込みたいと思い、応募枚数5枚全てを使い切り、『ミミズクと夜の王』 を表現しようと努力しました。この素晴らしい物語に出会わなければ、今回の受賞もきっとなかったコトだと思います。どうも有難うございました。

選考委員選評

天野喜孝

『ミミズクと夜の王』 には挿絵などの手本になるものがなく、そういった難しいものを選び、それを自分なりに描けているところがよかったと思います。この作品を金賞に選んだのは、色彩が非常に好きだからです。それだけにモノクロよりもカラーのほうがインパクトがありました。全体としてはカラーとモノクロの差がなく、カラーもモノトーンになっているのが、私は好きですね。もしかしたら、原作の世界観に合わせて、本来はもっと別の配色もできるのかもしれませんが、仮にそうだとしても、原作をしっかりと捕らえられていると言うことなので、それはそれでいいと思います。

出渕裕

原作に挿絵がない、という前提の中で、小説内容にリンクした表現をできたというところが、良かったです。色味もいいものがありますね。ミミズクが立っているカラーイラストで、文様などを使って面白くしているのですが、逆にいうとレイアウト的には平板で 『絵』 というよりはデザイン的な処理の部分で逃げてしまっているという印象を受けました。モノクロに関しては、これはカラーにもいえるのですが、全体的にグレースケールに仕上げていて、ぱっと見たときにどれを見せたいのかがわからず、ポイントが立っていないと感じました。やはり背景があって、主人公がいて、世界がある、ということを伝えるレイアウト力は必要ですが、雰囲気や個性と言った面では力のある方だと思いました。それにキャラクターの造形力やレイアウト力が追いついてくるともっとよくなると思います。

衣谷遊

オリジナリティーを一番感じた作品ですね、色合いも一見地味に見えますが、よく見ると複雑な色合いを使い、尚且つ纏め上げられていますね。特に背景は見た瞬間に 『優美』 という言葉が浮かんでしまいました。モノクロの絵に関しても、読んでいなくても物語を想像できる仕上がりになっていて、優れたレベルに到達していると思います。挿絵がないものを選ぶというチャレンジ精神も評価できるし、とにかく、この 『ミミズクと夜の王』 という作品に対する愛を 「痛感」 といっていいほどの強さで与えられる力を持っているところが素晴らしいと思います。

緒方剛志

僕は 『ミミズクと夜の王』 を読んだのですが、このイラストを付けて、びしっとハードカバーで出して欲しいな、と思うほど物語を汲み取れていますね。若干、全体のバランスが崩れている気がしますが、そこも僕は好きでした。中でも一番気に入っているのが、ミミズクが寝ているカラーイラストで、シーンの連続をひとつひとつ丁寧に描いているのに惜しげもなく背景にしてしまう所がすごい、とひたすら関心しました。ただ、やや拙さを感じる部分もありました。ですので全てこの作品に統一するのではなく、ひとつ、がらりとは言わずとも、もう少し違ったタッチで描いたものがあったら評価がもっと高くなったかもしれません。ただ、妙なバランスの崩し加減、これは個性に十分なりえる要素なので、そこを延ばしながらも、様々なジャンルに対応できるようになれば良いと思います。これからもお互い頑張りましょう!

鈴木一智(第2編集部 部長・統括編集長)

挿絵のない電撃文庫タイトルをモチーフにしていますが、絵を見ただけでそのシーンの文章が浮かんでくる程よく原作を表現しています。さり気ない部分も丁寧に描き込まれているなど真摯な制作姿勢にも好感が持てました。構図の取り方など、画力に若干の不安定さはあるものの、見る人の感性に直接訴えかけるような作風は大きな魅力だと思います。これからの成長が楽しみな方です。