電撃小説大賞

第19回 電撃大賞 入選作品

銀賞

「塔京ソウルウィザーズ」

作/愛染猫太郎(東京都)

受賞作品

電撃文庫

塔京ソウルウィザーズ

魂の魔術師は、魔犬と契り『神の頂』を目指す。

著者  : 愛染猫太郎
イラスト: 小幡怜央 (スクウェア・エニックス)
定価  : 641円(税込)
発売日 : 2013年2月10日
備考  : A6判/360ページ
ISBN: 978-4-04-891331-7

プロフィール

ペンネームは願掛けをしております愛染明王様から苗字を頂戴しました。煩悩に否定的な神様が多いなか、煩悩を悟りに変えるパワーに魅せられました。弓矢を武器に、縁結びの御利益がある神様ですので、愛染の名に恥じぬよう、読者の皆様のハートを射止める小説を執筆していきます。

受賞者コメント

この度、栄えある電撃小説大賞《銀賞》に選出してくださいました選考委員の皆様方、編集部の皆様方には謝意の言葉が尽きません。一文にて伝わる感謝の言葉を探したのですが、納得のいく言葉が見つからず、途方に暮れておりました。よって、頂戴を致しました助言を胸に打ち直しております、改稿にて表すのが誠の礼儀、と心得ました。申し訳がございませんが、生まれ変わりました献本がお手元に届くまで、もうしばらくお待ちください。

あらすじ

鉄の箒にまたがった魔女が、夜空を滑走する。ここは≪塔京≫。ソウル・ウィザーズが集いし魔法の都。
自分の魂(ソウル)を改造し、死者の魂(ソウル)を消費することで『奇跡』を起こす者達をソウル・ウィザードという。
時計塔学園・双児宮に所属するウィザード・黒乃一将は、『自由騎士』として、自身の守護霊である不死の魔犬ブリュンヒルデと共に≪児雷也≫討伐クエストの任務に就く。
動物霊召喚専門(ペットセメタリー)の異名を持つ一将は、奇策により≪児雷也≫に勝利。焼け残ったアジトから、金髪の少女の姿をした謎のホムンクルス≪ソフィア=04≫を発見する。そのヒューマンタイプデバイスは、一将に幸運と凶運をもたらし……。

選考委員選評

高畑京一郎(作家)

主人公とブリュンヒルデ、二人の屈折ぶりとその関係性が面白かった。設定は細かく練られているが、それを全部、『説明』してしまっては読みづらい。登場人物たちの会話や行動の中で、徐々に分かっていくような形にした方が、読者にもすんなり理解して貰えるのではないだろうか。敵の正体については、もう少し伏線があった方が、唐突さが軽減されると思う。

時雨沢恵一(作家)

やりたいこと、書きたいことがハッキリしている作品だったとの印象を受けました。魔法と世界観の説明描写や台詞が長いのも特徴で、最終選考会の中では、読むのに大変という意見もありましたが、私は、この方面に詳しくなかったわりには、引っかからずに読めました。

佐藤竜雄(アニメーション演出家)

世界観とシステムは面白い。しかし、主人公がメイドたちを前にした時の態度が子供のそれであり、「闇」の部分を持っているキャラにしてはかなり幼く単純。複雑な世界を渡り歩こうという「覚悟」なり「矜持」のようなものが彼にあれば終盤の展開は説得力が増したかも。

鈴木一智(株式会社アスキー・メディアワークス取締役・第2編集部統括編集長)

結構な分量が設定説明とハーレム展開に割かれており、読みどころを間違えると作品世界から弾き飛ばされてしまいそうな作風であるにも拘らず、綿密に構築された世界観が読み手を捉えます。またこれは極めて個人的な見解で、形容としても適切ではないのかも知れませんが、何か妙なリビドーを感じた作品でした。この執筆センスは今どきの読者に強烈にウケそうな予感も。

徳田直巳(電撃文庫編集長・電撃文庫MAGAZINE編集長)

正直非常に複雑で難しい設定だと感じてしまいました。一方、とても可能性を感じる作品でもありました。この手の話、苦手な人がいるとは思いますが、ひよることなくこの個性を突き通してほしいと思います。ただ、キャラクターの魅力をもうひとつ押し出す工夫をしても良かったかもしれません。

佐藤達郎(メディアワークス文庫編集長)

重厚な世界観に惹かれました。ただ、世界設定や魔法の説明にかなりの分量が割かれていたため、ストーリーがやや弱くなってしまったようです。敵の正体についても唐突感が出ないようもっと伏線が必要だと思います。でも主人公に仕えるヒルダと真央のキャラが可愛く、神へ至る道を探す12の魔法学術機関や境界が崩壊した現世と冥府など、物語的にこれから幾らでも広げることができそうなバックボーンがあるので、続編を読んでみたい作品でした。