電撃小説大賞

第20回 電撃大賞 入選作品

金賞

「韻が織り成す召喚魔法 -バスタ・リリッカーズ-

作/真代屋秀晃(大阪府)

受賞作品

電撃文庫

韻が織り成す召喚魔法 -バスタ・リリッカーズ-

悪魔とはじめるマイクバトル。ラップ召喚魔法、開演ちぇけらっ!

著者  : 真代屋秀晃
イラスト: x6suke
定価  : (本体590円+税)
発売日 : 2014年2月8日

※応募時タイトル『韻が織り成す召喚魔法』

プロフィール

大阪市在住。雑誌や書籍などで執筆するフリーランスのライター。自転車操業で、いつも家賃の支払いに怯えながら極貧生活を送っている。インスタントラーメン好きで、主食はそれ。ガスが止められることもよくあるが、電子レンジでラーメンを作る神アイテムを持っている。狭い部屋は本と映画のDVD だらけ。

受賞者コメント

このたびは私の拙い作品を選んでいただいて、誠にありがとうございます! なにぶん狭い部屋に住んでいるので、受賞の連絡をいただいたときは感激の涙で部屋が水没しました。貧乏性なので、その溜まった水を飲料水にしたいと思います。これからも読者のみなさんには、辛いことがあってもそれを笑いで吹き飛ばせるような作品を提供していきたいと思いますので、どうぞ末永く、温かい目で見守ってくださいませ。

あらすじ

校則の守護神と呼ばれるカタブツ生徒会長・音川真一の前に現れた、クソ迷惑でウザい悪魔少女・マミラダ。彼女に無理矢理キスをされ、契約を結ばされてしまった真一は、とある能力を手に入れた。それは──。
「サタニックマイク! 相手を強制的にラップバトルに引きずり込んで、バトルの敗者を支配できる魔法だよ。よーよー!」
韻を踏んだフレーズで即興歌詞を紡ぐ真一の言葉が、強力な召喚魔法となって吹き荒れる。規律を守らず、真一に逆らっていた学院の問題児たちまでもが、ラップ魔法に打ちのめされて命令に従うのだった!!
「人前であんなに恥ずかしい歌を歌うなんて、人生の汚点だ…」
「超かっこよかったよ! よーよー! さすが私の旦那様候補? 魔王の素質アリだね」
そしてはじまるマイクバトル、命を賭けたマジバトル、時にあの娘のハートにラブバトル。風紀を守る生徒会長はゲット快調!

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

高畑京一郎(作家)

普通の高校生と彼のもとに現れたセクシーな悪魔が織り成す大騒動――。ある意味、典型的なライトノベルだが、この作品が他と一線を画すのは、一にも二にもラップ魔法の存在。小説なのにリズムが聴こえる面白さ。リズムを刻む文節を毎回考えるのは大変だと思うが、その努力は必ず報われる。死ぬ気で頑張れ!

時雨沢恵一(作家)

今回最も明るく、脳天気で頭を空っぽにして楽しむべき作品です。もう一つの金賞作品とは実に対照的でした。電撃文庫らしい、楽しい一作です。もうそれだけで評価が終わってしまうので文字が余りました。シスターキャラが好きです。

佐藤竜雄(アニメーション演出家)

ラップバトルに無理矢理ひきずりこむマイク。このムチャクチャに一点突破なアイディアがおかしい。各キャラクターも良い味出していて、ヒップホップ部の佐久間の意味不明さのおかげで展開がかなり救われている。問題はラップバトルのリリック(歌詞)の精度であろうか。最初はそのバカバカしさの方に目が行ってしまうが、バトルを重ねるごとにルーティーンさが増す。最後のバトルはもうひと仕掛け欲しかった。

荒木美也子
(アスミック・エース株式会社 映画プロデューサー)

ヒップホップ(ラップバトル)をモチーフにした作品で、最初の掴みで、思わず声に出して笑ってしまい、そこから更なる展開を期待しました。バトルの相手が変わっていくことで読み物としての興味は持続する構成ですが、最初の掴み以上にラップバトルの内容がレベルアップしていく感が少なく、読み手に、“こう、来たか!”的にやられた感をもたせられたら、もっと評価もあがったのではないかと思います。

鈴木一智
(アスキー・メディアワークス副BC長・第2編集部統括編集長)

巻き込まれ型の主人公が繰り広げるナンセンス学園コメディ。このタイプはノリ一発で押すパターンと綿密に演出が施されているパターンの二通りに大別出来るのですが、本作は明らかに後者の作りで、下手するとイタい感じになりがちな音楽ネタを作者の狙い通りの楽しい作品に仕上げています。ラップバトルの練り込みが課題ですが、これ音読すると凄く愉快なんだぜチェキラ!(笑)

徳田直巳(電撃文庫編集長)

ラップでバトル、という発想が新しくて脱帽。真面目な生徒会長が次第に悪魔っ娘マミラダの魅力に惹かれていく様や、マイクバトルシーンには勢いがあり、単純におもしろい ! 周囲を固めるキャラも強烈な個性の持ち主ばかりで、これを映像にしたら楽しいだろうな、と可能性が広がる作品でした。ただヒロインと主人公のラブコメ要素が後半薄くなってしまったのは残念なところ。タイトルも内容に比べて少し真面目すぎるかもしれません。

佐藤達郎(メディアワークス文庫編集長)

ヒップホップを愛する悪魔から授けられた、強制的にラップバトルを行わせてしまうマイク。とんでもない発想だと思いました。それほどユニークでオリジナリティに溢れた作品でした。ただ、ラップバトルは同じことの繰り返しだとインパクトがどんどん弱くなってしまうので、その都度盛り上げていく工夫をして下さい。個性豊かなキャラが揃っているので、今後の展開が楽しみです。