電撃小説大賞

第20回 電撃大賞 入選作品

金賞

「僕が七不思議になったわけ」

作/小川晴央(大阪府)

受賞作品

メディアワークス文庫

僕が七不思議になったわけ

生きながらも七不思議となった中崎くんの
ちょっぴり切ないミステリアス・ファンタジー。

著者  : 小川晴央
定価  : (本体550円+税)
発売日 : 2014年2月25日

※応募時タイトル『三年B組 中崎くん(仮)』

プロフィール

静岡県出身、大阪府在住。友人に私の印象を聞いたところ「一言でいうと『眼鏡』」「お腹が弱くてアイス食べられないのかわいそう」「あれ? 俺とお前って友達だったの?」などとありがたいお言葉をいただきました。環境や出会いに助けられ、ここまで来れた運のいい男です。よろしくお願いします。

受賞者コメント

この度は電撃小説大賞<金賞>という素晴らしい賞に選出していただき、ありがとうございました。関係者の皆様方には、この場を借りてお礼させていただきたいと思います。調子に乗りたいところではありますが、先に進んでいる友人や先輩、憧れの方々のいる方向を眺めると、自分はまだまだまだと実感させられます。この賞に恥じない作家になれるよう、頑張っていきます。

あらすじ

石橋を叩いても渡らない心配性の高校生・中崎夕也はある夜、七不思議を司る精霊・テンコと出会う。
深夜の校庭に桜が舞い散る中、宙に浮かぶ袴姿の彼女は、高らかに不吉な言葉を彼に投げかけるのだった。
「おめでとう、お主はこの学校の新しい七不思議に選ばれた」
なんと彼は七不思議の引き継ぎに、仮登録されてしまったのだ! そして、とまどいながらも、テンコとともに学校で起こる事件を解決していくことになるのだが……。
七不思議の一つとなった少年の日々を綴った、思わずもう一度読み返したくなるミステリアス・ファンタジー。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

高畑京一郎(作家)

たとえば――ライトノベル好きの読者さんが、この本を手に取る。「ああ、はいはい、こんな感じで進むのね」と思いながら読み進める。ページを捲る手が、あるところでぴたりと停まる。そして慌てて、前のページを読み返す。――そんな光景が目に浮かびます。僕も綺麗に騙されました。

時雨沢恵一(作家)

個人的にはトップの評価を付けた作品です。その構成力は今回飛び抜けて優れていました。前半は電撃文庫、後半はMW文庫向けという、トリッキーな構成を持った作品です。これ、どちらで発売されるのでしょう?

佐藤竜雄(アニメーション演出家)

学園七不思議ものか、と思っていたら意外な展開。共通する登場人物、共通するプロップ。なのにどこかチグハグしているのは語り手が各章によって違うからかな…と思っていたが、その違和感こそが最終章への仕掛けだったとは。ラストのほろ苦さもいい。いささか気になったのはプロップそのもののチョイス。センスの古さが気になるが、敢えてこだわって使っているのならば、更に踏み込んだ描写が欲しかった。

荒木美也子
(アスミック・エース株式会社 映画プロデューサー)

2度読むと、その面白さがより深くなる、巧みな構成と伏線がはりめぐらされた作品で、大賞と同等、いやそれ以上といってもいい完成度の作品と私は評価しました。ただ、前振りの事項がオチを隠すべく存在しているのですが、その前振りの事項のインパクトが強すぎるのか、それらの要素を物語に絡めていないことに違和感を抱く審査員もおられ、評価がわかれました。私としては、前振りは仕掛けの一つと肯定的に捉えキーアイテムが、今の高校生の恋愛としてどうなのだろうか…ということに逆に違和感を抱きました。

鈴木一智
(アスキー・メディアワークス副BC長・第2編集部統括編集長)

学園を舞台にしたオカルティックなライトミステリ。学園の何気ない日常を描きつつ、その裏に様々なカラクリが隠されているという構造で読み手を引き込みます。特に意表を突く終盤の流れはドラマティックで切ない読後感が残るエンディングも印象的。若干描写にぎこちない部分はあるものの、ブラッシュアップすれば光る作品である事は間違いありません。

徳田直巳(電撃文庫編集長)

各章に多少の違和感を抱いたのはそういうことだったのか、と最後でわかる。やられた、と最初からもう一度読み直したくなる作品です。タイトルの(仮)の意味も、なるほど、と感心しました。冒頭から展開される学校の七不思議にちなんだストーリーが、中盤から七不思議とはあまり関係ない話になっている点は少し残念ですが、甘酸っぱくてほろ苦い青春ラブストーリーとして十分楽しめました。

佐藤達郎(メディアワークス文庫編集長)

学校の七不思議をモチーフにした幽霊少女とのラブコメディだと思って読み進めていたので、すっかり騙されました。見事にやられたという感じです。読み終えた後、思わずもう一度読み返してしまいました。全体を通しての大仕掛けを、最後まで悟らせることなく読ませる文章力、構成力は素晴らしいと思います。七不思議の扱い方が偏っていたり、重要なシーンで能力発動がわかりにくい箇所があったりしましたので、改稿の際は留意して下さい。