電撃小説大賞

第20回 電撃大賞 入選作品

銀賞

「思春期ボーイズ×ガールズ戦争」

作/亜紀坂圭春(山形県)

受賞作品

電撃文庫

思春期ボーイズ×ガールズ戦争

ドキドキし、モヤモヤする! 思春期全開ストーリー!!

著者  : 亜紀坂圭春
イラスト: ぎん太郎
定価  : (本体570円+税)
発売日 : 2014年2月8日

※応募時タイトル『放課後猥褻倶楽部』

プロフィール

山形県出身。応募総数を見て落選確実と思い込み、電話の確認を怠っていたため「最終選考に残りました」の連絡を二度も取り損ねた阿呆。子供の頃からホラー小説や怪奇小説ばかり読んでいたので、感性が妙な方向に曲がっている。未だに何故この話が高評価だったのか、よくわかっていない。

受賞者コメント

まずはこの場を借りてお詫び申し上げます。関係者の皆様、変なものを読ませてしまい申し訳ありませんでした。こんな不埒千万な話を審査して頂いた上、まさかの銀賞を御恵与くださいましたこと、感激の極みでございます。私は拙著で、男子の本質を明らかにし、それと真摯に向き合おうと考えております。そして下品を否定する方にこそ読んで頂きたいと願います。猥褻は大切です。何故なら人類の歴史は、猥褻と表裏一体なのですから。

あらすじ

「人生に命を懸ける瞬間があるなら、それは今だ」
正しく生きることを止め、男らしく“男であり続ける”ことを誓った三人の少年がいた。思春期だった彼らは女の子のことを知るためには、あらゆる批判を恐れず、大きな力にも屈することなく、立ち向かっていこうと誓ったのだった。覗きすら辞さない──つまり、どうしようもなく思春期だった。
そんな男子に武力行使で物事を解決するのが、女子が牛耳る男子矯正委員と生徒会。容赦なく顔が変形するまで殴る中崎ミイナさんは恐ろしく怖い。女性はかくも怖いのに、なぜ惹かれるのか。三人には深すぎる命題であった。
男であるために女の子を知ることを望み、あらゆる作戦を行使する三人。どうしようもない男たちに、怒りの鉄槌を下そうとする中崎さんたち女子陣。少年少女たちの終わらぬ戦いが始まる。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

高畑京一郎(作家)

今年最大の問題作。主人公たちのやらかす様々な変態的犯罪行為には、「果たしてこれを世に出してよいものか」と悩まされたが、意外にも女性選考委員からの評価が高く、ちょっとひと安心。まぁファンタジーという事で、世間様には許していただきましょう。随所に挟まる、細かいエピソードのテンポの良さが、個人的に好きでした。

時雨沢恵一(作家)

バカな高校生男子がバカでエッチで熱いドラマを繰り広げる話として、最初から最後まで、そのテーマが突き通されて面白かったです。女性が読んで楽しめるかどうかが懸念材料でしたが、選考会で聞いた話ではOKとのことで安心しました。3バカトリオの一人の過去と再会シーンは、今回の読み込み中、一番笑ったシーンでした。

佐藤竜雄(アニメーション演出家)

男の子がワイワイやって馬鹿なことに熱中する。タイトルに反してずいぶんカワイイ作品。それだけに国の括りが必要だったかちょっと疑問。単純に私立高校の中だけで行われる女尊男卑の世界の方が良かったと思う。猥褻物の撤去、という前提のための法律なのだろうが、むしろ思春期の少女達の誤解と偏見がエスカレートしている様の方が面白いので国のお墨付きは邪魔に感じた。寮内の攻防における何だかわからない勢いは非常に良い。

荒木美也子
(アスミック・エース株式会社 映画プロデューサー)

女性が読んで、嫌悪感を抱かないだろうか?と男性審査員の皆様が心配くださいましたが、男たちの青春エロ馬鹿っぷりは、逆に微笑ましく、可愛くさえ感じました。ただ、男子制限法→エロ本作りという初期設定を最大限生かしきれていない、馬鹿は馬鹿なりの物語のカタルシスはあって欲しいなと思いました。

鈴木一智
(アスキー・メディアワークス副BC長・第2編集部統括編集長)

リビドーネタの変化球タイプは年々増えつつあり本作もその範疇ではあるのですが、大袈裟に言えばそのデストピア設定において異彩を放っています。特異な状況下においてはキャラが真剣になればなる程ナンセンスが際立つという構造を書き手が良く心得ており、スケベ衝動への対応を真剣に検討する高一男子トリオが何ともいじましく(笑)、馬鹿馬鹿しくも感情移入させ且つ笑わせる事に成功しています。自分の選評メモに「果たして女子は共感するのか?」と書かれているのですが、これは全くの杞憂だったようです。

徳田直巳(電撃文庫編集長)

とにかくバカバカしい設定でバカバカしい話なのですが、どこか清々しく嫌悪感は抱きませんでした。真面目に語られる、エッチやエロに対する思春期真っ只中な男の子たちの熱い思いも、何だか真摯にさえ感じてしまうほど。女の子のエッチなことが知りたいというブレない気持ちにエールを送りたくもなりました。所々描写不足や文章表現的にわかりづらいところがありましたが、全体的には非常によくまとまった良質の学園コメディです。

佐藤達郎(メディアワークス文庫編集長)

固い友情で結ばれ、ひたすらエロのためにどんな困難をも乗り越えていく主人公たちの姿は、いっそ清々しい。暑苦しいまでに熱いのだけど、あまりの一途さに思わず爽やかさを感じてしまいました。度重なるピンチを主人公たちがどう切り抜けていくのか、ハラハラドキドキの演出も上手かったと思います。敵役の女の子が主人公を好きになるラストの展開はやや唐突な印象も受けましたが、読後感はとても良かったです。