電撃小説大賞

第22回 電撃大賞 入選作品

電撃文庫MAGAZINE賞

「俺たち!! きゅぴきゅぴ♥Qピッツ!!」

著/涙爽創太(青森県)

受賞作品

電撃文庫

俺たち!! きゅぴきゅぴ♥Qピッツ!!

恋に悩む高校生たちの救世主。彼らこそ――恋愛警察Qピッツ!!

著者  : 涙爽創太
イラスト: ddal
定価  : 本体590円+税
発売日 : 2016年3月10日

プロフィール

青森県出身。1992年生まれ。男。一応社会人を経験したものの、自分が真の大人かどうか未だに分からないまま、現在に至る。審査員の方々が自分に同性愛者疑惑を抱いているらしいことを、担当編集者を通して聞かされ焦る今日この頃。受賞に関しては嬉しいとか、恐縮とか以前の問題で、「なぜ、こんな作品が受賞を……?」という純粋な疑問で胸がいっぱいです。だって、ヒロインより目立ってるのは、中年の男性教師だし、登場人物で一番多いのは、同性愛者の屈強な外国人傭兵部隊だし。「いったい誰が読んで得するんだよこの作品……」と作者本人が一番思ってます。じゃあなんで書いたんだよって言われると、ぐうの音も出ないんですけれど。取り敢えず、受賞なんて身に余ると思っていたので、色んな疑問はすっ飛ばして、「嬉しいです」とだけ書かせてもらいます。あと、審査員の方々に言っておきたいのは、僕の性癖はノーマルですから。次元を問わず、女好きですから。普段は友人と、『女の子の好きな表情とそのシチュエーション』をテーマに半日以上激烈な討論に費やすごく普通の二十代ですので、あしからず。

あらすじ

高校生活の中で最も重要なイベントは「恋愛」。しかし、そのうち約99%は、相手に想いを告げることなく終焉を迎えてしまう。そんな隠された恋心、告げられぬ想いを捜査し、解決に導く集団がいた。それが、恋愛警察。通称『Qピッツ』。これは、苦悩する学生たちの恋のキューピッドとなり、愛の芽を開花させる、お節介な恋愛刑事たちの愛と勇気の物語。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

高畑京一郎 (作家)

ノリと勢いで読ませるタイプの作品なので、細かいツッコミはするだけ無駄。とりあえず、自分が恋する立場になった時には、こいつらにだけは気付かれてはなるまい、と思いました。Qピッツのメンバーは割と人数がいるのだけれど、それぞれにキャラが立っていて魅力的。見せ場もちゃんと用意されている。随所に出てくる小ネタが微妙に古いのが気になったが、作者は22才との事。謎は深まるばかりです。

時雨沢恵一 (作家)

最初にタイトルを見たとき、頭がクラクラしましたが、同時に頭を空にして楽しめそうだと期待して、事実その通りになりました。無茶苦茶なハイテンションギャグ作品です。ところどころ、泣けます。作者は若いのですが、なんでそんな古いネタ知っているのと何度も驚きました。

佐藤竜雄 (アニメーション演出家)

過剰なテンポで往年の刑事ドラマ的なお遊びが炸裂していく謎の作品。てっきり作者は年配と思っていたら22歳という事実を聞き、驚いた。あくまでも刑事モノにこだわるのならば、殉職はあるのか、その後の新任刑事は来るのか? 権田は教師なのに何故恋愛刑事をしているのか、生徒会長との関係は……なんてところをどんどん過剰に突き進んだ、その果てが見てみたい。

荒木美也子
(アスミック・エース株式会社 映画プロデューサー)

学園内の先生&生徒による恋愛警察というユニークな設定ですが、ストーリーの展開は極めて単純、登場人物のキャラの書き分けもよくできており、純粋に楽しめます。小説内の音楽<曲>は映像化されたら、どんな感じなのか、想像を膨らませながら読みました。ただ、あまりにも単純な展開なので、例えば、生徒会長の香澄と権田の間で、ラストに向けて新たな伏線を設けるなどしたら、より面白くなるのでは?

佐藤辰男
(カドカワ株式会社 代表取締役会長)

ギャグ小説。この手の小説は、どれだけ笑わせてくれるかに小説のすべての価値がかかっていると私は思う。笑わせるシーンはたくさんあったと思う。取り調べのシーンやバスケのシーンは、大いに笑えた。わたしには笑えないシーンもいくらかあった。ギャグ小説の評価の難しいのは、人によって笑えたり笑えなかったり受け止め方が違うところだ。多くの読者に笑ってもらえますように。

鈴木一智 (アスキー・メディアワークス事業局 統括部長)

ありがちなラブコメ設定ながらナンセンスギャグに振り切った潔さが小気味良い作品。若干文章演出や情景描写に乏しく、シチュエーション・コントの台本を読んでいるような印象を受けるものの、テンションを落とさずに最後まで書き切るというコメディに必要な基本条件を楽々クリアしています。作者は22歳なのにオジサンにも分かるネタを知っているのは何故なんでしょう?

三木一馬 (電撃文庫編集長、電撃文庫MAGAZINE編集長)

『撲殺天使ドクロちゃん』を彷彿とさせる、思い切り尖ったギャグの数々に笑いが止まりませんでした。応募作の中で、一番人を笑顔にしてくれる作品だったと思います。残念なのは、ヒロインの影が薄かったこと。代わりに権田先生や恋ジャー部隊が目立っているのを上手くバランスとって調整出来ればさらに作品の質が上がると感じました。ナチュラルボーンな個性がこの作家さんには備わっていました(もちろん褒め言葉です)。

佐藤達郎 (メディアワークス文庫編集長)

恋愛警察というワンアイデアで一点突破した作品。あまりのバカバカしさに途中で気になった点も吹き飛び、これはこれでありだと思わせてしまう勢いと力強さがありました。一方的なおせっかいを強制的に行っていく彼らの自己満足的な勇気と行動力に賛辞を送りたくなります。ヒロインのキャラが弱かったのと、応援するのがひと組のカップルだったので中だるみを感じてしまったのが、ちょっと気になりました。