編集者によるワンポイントアドバイス

電撃小説大賞の選考は、電撃文庫・メディアワークス文庫の編集者が行っています。
ここでは、“作品作りのポイント”について、各編集者の意見を5項目に分けてご紹介します。編集者によって考え方や重視するポイントが違いますし、また、ただひとつの正解というものはありませんが、“もっと面白い作品”にするためのヒントがきっとあるはず。
電撃大賞に応募してみようという人は、参考にしてみてください!

index

  • ポイント1
  • ポイント2
  • ポイント3
  • ポイント4
  • ポイント5
ポイント1

ストーリーをおもしろくするためのポイント

ストーリーに重要なのは、必然性とリアリティ。

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個人的な意見ではありますが、わかりやすさが設定であり、読ませどころがストーリーだと思っております。
キャッチーなキャラ、世界観を構築するのは物語作りの第一歩かもしれません。そこから、誰が主軸となり、どう物語が展開していくのかが、ストーリー作りになるのではないでしょうか。
読んでいて「手に汗握る」「その先が気になる」というストーリーはキャラクターや世界観の特性を生かしつつ、いかに主人公に感情移入させるかだと思います。必ずしも、おいしい展開である必要はなく、むしろ必然性とリアリティが重要かと。皆様の力作を楽しみにお待ちしております。

ガラシャツ刑事

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ガラシャツ刑事

読み手をどんな気持ちにさせたいのかを意識して書こう。

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最初は、とにかく書きたいことを書く! それで十分だと思います。でも、それだけではひとりよがりな物語になってしまい、読んだ人がついて行けないことも事実です。次のステップとして、国語の時間にも習う基本的なことではあるのですが、やはり“起承転結”を意識してお話を組み立てることが大事だと思います。どんなキャラクターたちが、何をしてどうなっていくお話なのか、まずその骨組みとなる部分をシンプルに考えてから、要素を肉付けしていくのが良いと思います。その際、“読み手を意識する”ということができればさらに良いと思います。自分の書いた物語で、読み手にどんな気持ちになってほしいのか(例えば、思いっきり笑わせたいとか、切ない気持ちにさせて泣かせたいとか、主人公が格好良い!と興奮してほしい、とか)、そこを意識して書くと、テーマが一貫した、ブレのない読みやすい作品になると思います。

あら☆びっと(仮)

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あら☆びっと(仮)

設定やキャラクターに沿ったストーリーになると、魅力倍増!

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応募原稿を書き始めるとき、ストーリーよりも先に世界設定やキャラクターを思いつく方が多いのではないでしょうか。しかし、せっかく面白い設定や個性的なキャラを思いついても、それに満足してしまって肝心のストーリーに絡められないと魅力も半減です。その設定だからこそ、そのキャラだからこそのストーリー展開を心がけると、ブレのない説得力のある作品になると思います。また、物語のクライマックス部分に多いケースですが、作品のテーマや著者のメッセージを直接セリフや文章にすることにも注意が必要です。テーマを文章化するのは簡単ですが、重要な部分だからこそ作品全体を通じて読み手に伝えられるとより質が上がると思います。それらを意識しつつ、閃いたアイデアが最大限活きるストーリー作りに挑戦してみてください!

よしおストライプ

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よしおストライプ

ポイント2

引き込まれる設定を作るためのポイント

ヒントは身の回りにたくさん隠されています!

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魅力的な設定は得てしてふとした思いつきから生まれたりするものですが、それが簡単に出てくれば苦労はしないですよね。でも、それが生まれるためのヒントは身の回りにたくさん隠されています。科学や歴史、それに普段の生活にあるものを、逆転したり極大化したり組み合わせたり、ちょっとアレンジするだけで使える設定になる可能性があります。また、ストーリーでもキャラクターでも柱となる設定でも、物語の核となる要素が決まっていれば、なぜそれが成立したかを想像することによって、新たな設定が生まれてくるでしょう。
あと設定に関して大事なことは取捨選択です。ストーリーの仕掛けやキャラクターに深みを与えるためなど、必要がある設定は残しましょう。また直接それらに関わらなくても、設定それ自体がユニークで面白ければ作品世界に彩りを添えるものになるので使う価値はあるでしょう。しかし、設定は入れれば入れるだけ説明が必要になってきます。それだけでページが埋まることのないよう、バランスを考慮して作品づくりをすることが肝要です。

ジム・デンピョウ

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ジム・デンピョウ

トータルバランスで見て設定を決めることが重要。

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面白い「設定」とは、作品を魅力的に見せ、興味を引く「必殺の武器」です。ただし、武器を作るには「ストーリーやキャラクターを魅力的に見せるための設定になっているかどうか」が重要です。
どんなに強い武器でも体格に合っていなかったら、扱い切れず戦力がダウンしてしまいます。設定だけを特化させるのではなく、一つの作品を総合的に捉えてベストマッチするものを選ぶことが、結果的には魅力的な設定となり強い武器となることでしょう。
設定を生むには? 「経験」です。世の中には多くの面白いものがあり、それらに触発されてアイデアが生まれることがあります。ですが、それは小説の場合は同じ小説、というだけではなく、趣味や実体験など全くの別ジャンルから出ることもあります。視点を変えていろいろ経験してみてください。きっと無駄ではないです。そして「その面白い理由は何なのか?」と考えてみることが、自分なりの新しい必殺の武器を作るきっかけとなるかもしれません。

すたぁ◆天功

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すたぁ◆天功

「王道」の設定を「新しい見せ方」で魅力的に見せよう。

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よくある設定は「ダメ」でしょうか。もちろんダメだ……とついつい考えてしまいがちですが、魅力的に見える設定は案外とシンプルで、自分が昔見た面白い物語の設定に似通っていたり、幼いころに思い描いた「こんな物語があったらいいな」という思いに沿っているものです。みんなが使うありがちで「王道」な設定は、そのままみんなが面白いと思う「王道」でもある……というわけで、変に奇をてらいすぎず、「こんなものを見てみたい!」という自分の欲望をうまく生かすようにすると、結果として読み手にも響くいい設定ができてきます。もちろん、他の作品と同じ設定をそのまま使う……などということをしてはいけないのは当然のことですが、逆に多少似ている部分があったからといって過剰に怖れることもありません。設定の組み合わせ、キャラ・物語との組み合わせなどによって、設定の見せ方はいかようにも変えることができます。そんなわけで、捻り、考え込むべきは、むしろその見せ方です。誰もが面白いと思う「王道」の設定を、しかし誰も描かなかった「新しい見せ方」で魅力的に見せられるよう、知恵を絞りましょう!

キーヨ星人

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キーヨ星人

ポイント3

魅力的なキャラクターを作るためのポイント

キャラクターの行動原理をしっかり考えよう!

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小説に限らず、エンターテインメントにおいて、キャラクターは非常に重要な要素となってくるかと思います。いくらストーリーが秀逸だとしても、キャラクターが読み手にイメージとして伝わってこないと面白さが半減する可能性もあります。また、一度読み手にキャラクターイメージが入りますと、その後の展開でもそれぞれの行動原理なども気になり、常にストーリーの流れに影響してきます。なので、先に物語のプロットを立てることも大事ですが、「このキャラはこういった場合にどういう思考で動いているのか」ということを常に踏まえた上で、ストーリーを考えていくとより良くなると思います。キャラクターがイキイキと物語の中で立ち振る舞う作品はカタルシスも上がりますので、メインだけでなくサブキャラまでも思い入れを込めていきましょう。

ぱぴおZ

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ぱぴおZ

キャラクターの性格の方向性を突き詰めていくと、それが魅力につながる!

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魅力的なキャラクターに惹きつけられて、ぐいぐい小説を読み進めた経験が皆さんにもおありだと思います。読み手に好きになってもらえるようなキャラクターがいれば、作品の魅力は何割増しにもなるでしょう。魅力あるキャラクターといっても、性格がよく、能力も高く、特別な力を持っていて、勉強も運動もできてクールでカッコ良くて面白くて……と、長所ばかりを付け加えてもかえって印象が弱いと感じます。「クールだからこそ無頓着な一面がある」「明るいキャラだからこそ弱みを誰にも見せられない」など、キャラクターの性格の方向性をしっかり突き詰めていくと、それが魅力になると思います。さらに、セリフ回しひとつ、行動ひとつにもそのキャラの性格がきちんと反映されていることで、より魅力が際立ちます。ストーリーの中で起こる出来事への反応や対処法がそのキャラならではのものであることで、読み手にもキャラクターを強く印象づけることができると思います。

MASAKO・ガットゥ・ドゥ

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MASAKO・ガットゥ・ドゥ

キャラクターには長所だけでなく強烈な短所や弱点も必要。

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魅力的なキャラクターには、長所や誰にもまねできない凄い特技があることも多いですが、よく見てみると実はそれを帳消しにしてしまうくらい強烈な短所や弱点もあるものです。良くも悪くも、強烈なキャラほど頭に残り、またイメージも掴みやすいものかと思います。魔法も超能力も全然使えない『とある魔術の禁書目録』の上条当麻、あんなにスタイルがいいのに首から上を欠いている『デュラララ!!』のセルティ、泣くことのできない『境界線上のホライゾン』の葵・トーリ……彼らの持つ弱点・欠いた点は面白い設定にもつながりますし、またその弱点をどう克服するか、どうやって逆手に取るか……などなど、物語の重要なポイントで、ドラマが盛り上がるきっかけにもなってきます。
プラスマイナスの振り幅を大きくすることに気をつけながら、ぜひ魅力的なキャラクターを描いてあげてください!

キーヨ星人

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キーヨ星人

ポイント4

オリジナリティある作品を作るためのポイント

“自分自身”を小説にぶちこもう!

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オリジナリティとは、まさにそのまま「自分自身」のことです。自分が「面白い!」「これを伝えたい!」と思ったことを小説にぶちこみましょう。その要素こそが、自分独自の表現となり、『個性』となります。「自分の面白いと思った伝えたいこと」のスケールは大きくても小さくても構いません。たとえば、「この子の可愛さを伝えたい!」とか「剣と魔法の世界が俺は好きなんだ!」とか「犬とじゃれ合っている妹を描くことについては誰にも負けない!」とか、なんでも良いのです。すべての「好きなこと」は、エンターテイメントになり得ます。ネガティブなことでも構いません。物語を彩る要素として盛り込んでみましょう。応募時にそれを遠慮したり、臆してしまうのはもったいないので、勢いをつけて、思い切って書きましょう!

うにまる

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うにまる

なによりも大切なのは「勢い」。

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オリジナリティが光る作品を書くために、なによりも大切なのは「勢い」だと思います。「これだ」というアイデアを突きつめたり、可愛いキャラクターを追求したり、独特のテンポの文章にこだわったりなどなど、自分の想いに従って一直線に突っ走ることで、オリジナリティは生まれると思います。これはひとつ間違うと「イタイ」ことになるかもしれません。しかし、オリジナリティとはそういう危うさと紙一重のものでもあります。失敗を恐れず、挑戦を続けてみてください。 

すおさとトミ

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すおさとトミ

わがままを貫きつつ、相手に伝えることも考えよう!

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まず「オリジナリティ(=独創性)を出すためには他人と違うことを、新しいことをやらなければ……」と悩む方もいるかもしれませんが、そこは気負わなくても大丈夫です。「自分が一番やりたいことを考え、そのエゴをどうやって通したらいいか?」ということを考えてみてください。 まずは「これがやりたいんだー!」という我儘なくらいのイメージを持って、主軸となる自分なりの意見を持ちます。より目立たせたいと思ったら、もっともっと我儘だと思われるくらいに強調して考えてみればOKです。そして、次に考えることはその逆で、受け取る相手を気にします。「アピールしたい部分をどう伝えたら相手にうまく伝わるか?」と読み手を意識して書くことです。独創性とは全く関係ないように思えますが、相手が理解できなかったらただ意味不明のものとしてしか受け取ってもらえないかもしれません。一見単純ですが、それらが出来れば、最終的にはあなたなりのオリジナリティに繋がっていくと思います。

すたぁ◆天功

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すたぁ◆天功

ポイント5

文章力をアップさせるためのポイント

「反復」と「練習」だけが上達への道

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どんなものでも「上手くなりたい」と望んだとき、特別な才能や偶然による才覚が降ってこないかぎり、やることは同じです。それは何度も「反復」したり、繰り返し「練習」するということ。その行為でしか、「上達」することはない、と思っています。もちろん小説だってそうなのです。『文章力』というのはとくにそうで、たくさん書けば書くほどその力は上がります。逆にそれ以外に文章力を上げる方法は無いと言えます。継続して頑張る、というのは大変なことではありますが、裏を返せば『文章力』とは、もっとも才能や幸運、その他不確定事項に依らない分野だとも言えます。センスや才能という言葉で逃げてはいけません。今活躍している作家さん方も、もの凄い枚数の小説を書き続けて、ようやく今の実力をつけたはずなのです。なので、なにはともあれ、『悩む前に書く!』、これを実行してみましょう! 大事なのは、ずっと文章を書き続けることです。そうすることで、必ず小説を描く力は向上します!

うにまる

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うにまる

シンプル・イズ・ベストを心がけよう!

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どうしたら文章力を高くできるか、と難しく考える必要はありません。たった一文で世界を表現してしまうような技術は、世の文豪たちにまかせてしまい、まずはシンプル・イズ・ベストを心がけることです。描きたい物語、そして描きたいキャラクターの魅力を損なうことのない『簡潔な文章』であれば、それで十分。それは、誤字脱字がなく、日本語としての文法やルールに間違いがない文章のこと。小難しい言葉を無理に使おうとする必要もないです。文章力は、あくまでも物語やキャラクターを支える土台。ヘンに肩肘をはらず、自分の語彙の中で、のびのびと書いてください。常にそれを心がけていれば、あとは何本も作品を執筆していくうちに、自分らしい個性や技術が、自然と文章から滲み出てくるものだと思います。

ヤン=クロート・タムタム

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ヤン=クロート・タムタム

一つの文や節に情報を盛り込みすぎないようにしよう!

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第一に“読みやすい文章”であることが重要だと思います。読みやすい文章を書くのはそれほど難しいことではありません。例えば、同じ語尾や表現が続かないように気をつけたり、誰のセリフなのかを分かりやすくしたり、必要以上に凝った言い回しを避ける。そんな小さなことの積み重ねによってテンポがうまれ、読みやすい文章になっていくはずです。また、読みやすい文章を書くためには、一つの文や節に情報を盛り込みすぎないようにするのもポイントです。規定枚数に収めなければいけない応募原稿の性質上、手っ取り早く情報をまとめたくなる気持ちは分かります。しかし、セリフで状況を説明しすぎて会話が不自然になったり、設定説明が作品の取扱説明書のようになってしまっているケースも多いのでご注意を。最後にもう一点、せっかく気合いを入れて書く文章ですので、書き上げても気を抜かず応募前の誤字脱字チェックをお忘れなく!

よしおストライプ

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よしおストライプ