出身作家インタビュー

ここでは、電撃小説大賞に応募し、デビューした作家さんに突撃インタビューを行います! あこがれの作家さんたちはどのようにして受賞したのか、貴重な経験を聞いて、作家デビューへの第一歩につなげよう!

  • 第59回 涙爽創太
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  • 第29回 樹戸英斗
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  • 第27回 綾崎隼
  • 第26回 三枝零一
  • 第25回 三河ごーすと
  • 第24回 多宇部貞人
  • 第23回 沖田 雅
  • 第22回 聴猫芝居
  • 第21回 峰守ひろかず
  • 第20回 乙野四方字
  • 第19回 兎月山羊
  • 第18回 渡瀬草一郎
  • 第17回 山口幸三郎
  • 第16回 土橋真二郎
  • 第15回 鈴木 鈴
  • 第14回 杉井 光
  • 第13回 志村一矢
  • 第12回 九岡 望
  • 第11回 高橋弥七郎
  • 第10回 三雲岳斗
  • 第9回 阿智太郎
  • 第8回 支倉凍砂
  • 第7回 支倉凍砂
  • 第6回 佐藤ケイ
  • 第5回 成田良悟
  • 第4回 蒼山サグ
  • 第3回 水瀬葉月
  • 第2回 和ヶ原聡司
  • 第1回 川原 礫

第12回 九岡 望

プロフィール

『エスケヱプ・スピヰド』にて第18回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、デビュー。現在は電撃文庫にて『エスケヱプ・スピヰド』の続刊を展開中。

エスケヱプ・スピヰド
質問
小説を書き始めたのはいつ頃からですか?
回答
何らかの創作といいますか妄想といいますかは、遡れば小学校低学年くらいの頃からやっていました。中高生の頃はハヤカワ文庫のSF小説(例の背表紙が青い奴)など読んでイマジネーションを膨らませていたので、多分その辺りの経験が小説に舵を取る一つの要因になったと思います。それとネットの各所で文章媒体を用いて細々と遊んでいた時期があったので、それもあります。改めて小説という形でオリジナルの創作を始めたのは大学に入ってからですね。文芸部に入ったのがきっかけです。
質問
受賞するまでの投稿歴を教えてください。
回答
15、16、17回電撃大賞に応募していました。そこで三回落ち続けて、18回でどうにかといった具合です。他の新人賞には出していません。ちょうど大学入学から毎年送っていたことになります。
質問
電撃小説大賞に応募しようと思ったきっかけ、理由を教えてください。
回答
なぜ電撃なのかというとやはり、同レーベルの大先輩であるところの秋山瑞人先生のファンだからです。……というのが大きな理由の一つとして、他にはやっぱり狙うなら大きい賞だと思ったのと、僕の前に同賞で受賞してデビューされた大学の先輩がいらっしゃったのでそれに続こうと思ったというのがあります。そうした要素が重なって、結果的に電撃一筋な状態になっていました。
質問
受賞作のアイデアは、何から着想を得たのでしょうか?
回答
受賞作の『エスケヱプ・スピヰド』に関しては、突然思い付いたとかではなく、前から漠然と温めていたネタを使った形になります。「SFバトル」「メカ」「和風」「舞台は廃墟」といったそれぞれ頭の中にあったアイデアを組み合わせてうまいこと一つの作品として錬成(?)したわけですね。他にも幾つかネタは浮かんだのですが、いつまでも大事に温存してたって仕方ないと思って全弾発射な勢いで盛り込みました。
それからバトルシーンが書いていて楽しかったので、一度何の遠慮もなく思いっきりバトルが書けるような話にしたかった、という目的もありました。
質問
受賞作を書く際に心がけていたこと、工夫したこと、苦労したことを教えてください。
回答
何が一番やりたいのかを、読んで頂いた方にすぐわかるように書きました。
なにしろ設定がそこそこ特殊な方ですから、とにかく文章や説明はわかりやすく、説明し過ぎない程度に。そうして読者(この場合は選考員諸氏)にしっかり土台と流れを理解して頂いた上で、「よーし今から投げますよー」と思いっきり振りかぶっての直球を、つまりは一番やりたかった虎の子のバトルを放りました。
いわゆるライトノベルらしさの傾向や対策などは考えず、ただやりたいことを考えられる限り最もシンプルな形でまとめて「これが今の僕のベストです、あとは煮るなり焼くなり好きにして下さい」と投下した形になります。
質問
応募した後、各選考段階の発表などはチェックしていましたか? 結果を待っている間はどんなお気持ちでしたか?
回答
毎回選考の経過が発表されたら光の速さでチェックしていたのですが、本作を送った頃にはそれももう四度目です。最初の頃のように発表が近付くにつれそわそわしたりはせず、なんだか妙に落ち着いていたことを覚えています。むしろ前回までほど強く受賞したいと思ってさえいませんでした。
まあ要するに賢者モードだったのでしょう。とにかく色々吐き出しちゃってスッキリしていました。これがダメなら心機一転、全く別の次の作品にいけるさという、なにやら足元が軽い感覚でいました。
なので、大賞という結果に至ったと知った時は魂が抜かれる思いでありました。逆に。
質問
受賞の決め手は何だったと思いますか?
回答
公開されている選考員各位の選評が全てではないかな、と思います。敢えて自分で分析するなら、上記のバトル特化な熱量を評価して頂いたのかなと。
質問
デビュー当時の思い出などを聞かせていただけますか?
回答
めっちゃ飛行機に乗りました。
僕は福岡に住んでいるのですが、一巻の打ち合わせや電撃大賞の贈呈式やその他もろもろの用事で何かってーと空飛んで東京行ってた記憶があります。実は僕は飛行機が怖かったんですよ。事故でも起きたら逃げ場が無いじゃありませんか。けどそれも、今となっては「そう思っていた時期が俺にもありました」ってなもんです。いやー東京ってのは本当に賑やかなところですね。僕は行く度に毎回立ち食いそばをたぐっております。こちらとは味が全く違うので。
それから発売した当時、18回受賞作の告知とかで、都内の駅の各所に自作のイラストがメインのポスターがでかでかと掲示されたことがあったんです。凄いじゃないですか。見たいじゃないですか。行けないんですよ僕。福岡いるから。結局、担当さんが撮ってくれた写真をデータで見せて頂いてそれなりに満足したんですが、いかんともしがたい物理的距離っていうのものを強く感じましたね。
質問
デビュー後、小説を書いていて大変だったこと、また楽しかったことはありますか?それぞれ教えてください。
回答
デビュー後に限った話ではないのですが、執筆中に「面白くないかも病」に陥ることがあります。自分の中にいる悪魔のようなヤツが「これつまんなくね?」「根本的にどうなのよこれ?」と駄目出しをしまくってくるあの現象です。こいつときたら突然沸いて出る上に一度来たらなかなか去らず、どうにも逃げ場のない文句をうだうだ垂れてくるのだからたまりません。
それに加え、デビューした以上はお仕事ですからタイムリミットというのがあります。悪魔が飽きるまで寝て待つということはできず、この野郎めを捻じ伏せて続きを書かねばなりません。まさに自分との闘いです。
ですがその分、読者の方々からのご感想を頂けること、他の作家先生とお話ができるという楽しさもあります。自分で考えて書き進めながら、これは良い出来だと思う一文もあります。そうしてエネルギーを補給できれば自分の脳内悪魔など指先一つでダウンできるほどのやる気が沸いて出てくるのです。こうした脳内で展開される自転車操業が、楽しくもあり大変でもあります。
質問
小説を書く上で、普段から心がけていること、大事にしていることはありますか?
回答
何がウリのどういうお話なのか、それを読んですぐわかるように書くこと。独りよがりにはならず、自分がやりたい作風を可能な限り推し進めることです。
もちろん立場上はプロなわけですから、読者の方々が何を求めているかへのアンテナをもっと磨こうと心がけてはいます……が、こちらはまだまだ未熟。もっと色々な作品をインプットして、自分の中の世界観を広げていきたいと思っています。……そういう余裕ができるほど筆が速くなってからの話ですが!
質問
作家になってよかった、と実感するのはどんな時でしょうか?
回答
作品がこの手を離れて、一冊の本として出来上がっていく過程を見守れる時です。
小説の執筆というのは一人でひたすら続ける作業ですから、作家としてデビューする前までは完成したらそれまででした。今となってはそこから先があって、編集さんや校閲さんのチェックが入り、イラストレーターさんの絵が入り、あれやこれや色んな過程を経て一冊の本として完成するのです。この過程そのものに関われること自体が嬉しくてなりません。この他では味わえない楽しさは、今後も決して薄れることはないだろうなと思います。
そしてもう一つ、電撃の作家になって良かった! ……と思うことがいずれある「筈」ですが、まだ実現には至っていません。お会いしたい作家先生がいるのですが、お話を聞く限りなにやら仙人の如き御仁ですので、お目にかかるには今一つ運の巡りを待たねばならなそうです。
質問
最後に、これから電撃小説大賞に応募する方々へひと言アドバイスを!
回答
僕もまだペーペーのペーでまだまだ模索中なところが多く、技術面であまり有益なアドバイスは差し上げられませんので、心構え程度でご容赦下さい。
執筆にあたって大事なことは数ありますが、自分が自分の作品を面白いと信じることがその一つだと僕は考えています。
そして文章媒体に限らず、漫画やアニメ、映画や演劇やゲームや音楽など何でも構いません、自分が触れて感動したものを大事にして下さい。自分自身の「これが面白い!」と思うその感性を信じてあげて下さい。どうあっても、結局はそこに立ち返るのではないかと思います。そこに作家というか創作者としての「自分」の原点があるのではないでしょうか。
それから、例えば自分の中での切り札なネタがあるとします。「この弾を使ってしまえば後がない」という温存しているアイデアです。それはもう構うこたないから全部ぶっ放しちゃっていいと思います。いずれ必ず使うことになるのなら、頭の中でそのアイデアが熱を持っている内に紙面に叩き付けてみればいいでしょう。なあに今その時の大事なネタを使い切ったって、なんだかんだ半年もすりゃ新しい別のネタが思い付いている筈ですから。
なんだか偉そうなことを申し上げてしまいましたが、アドバイスらしきものを差し上げられるとしたらこのくらいです。あなたの「面白い」を、読む人々に紹介してあげて下さい。