INTERVIEW 著者インタビュー
受賞者へ直撃インタビュー
受賞者の素顔に迫る、特別インタビュー! 受賞作の制作裏話やタメになる話なども掲載! 小説大賞応募者の皆さんは、この受賞者インタビューを読めば受賞に近づくかも!? 
角埜杞真
(かどの こま)
《大賞》受賞作
『トーキョー下町(したまち)ゴールドクラッシュ!』
PROFILE
東京生まれの東京育ち、心のふるさとは岐阜県関市。横着で大雑把を絵に描いたようなO型。いつも眠い。誰もいない山中でひっそりと暮らすのが夢だけれど、虫の類が大の苦手なので二の足を踏んでいる。遠い昔に深夜の新青梅街道で引ったくりにあい、パトカーに乗って連行されたのが唯一の自慢。

ご自身はどんな性格だと思いますか?

たぶん、人間じゃなくて動物だと思う。呼ばれていることはわかってるんだけど、寒いし面倒だから耳を塞いで炬燵のなかで知らんぷりしているような雑種の猫、とか。

趣味(好きなこと)は何ですか?

人気のない道を選んで散歩することが好きです。川や緑がある場所を歩きたい。あれやこれやと妄想を膨らませながら。でも一番好きなのは、やっぱり寝ること。できることならば、いつまででも眠っていたい。ふわふわの毛布に包まれるのが至福のときです。

小説を書き始めたのは、いつ頃ですか? そのきっかけは何ですか?

数年前のことです。きっかけは、なんだったのでしょう。自宅でごろごろしていたある晩、ふと、「書いてみようか」と思いつきの神様が降りてきて、次の瞬間にはむっくり起き上がってPCに向き合っていました。いままでたくさんの本や漫画を読んできて自分の内側に蓄積されていたものが、ポンッと弾けた瞬間だったのかもしれません。

受賞の連絡を受けたとき、どこでどんなことをしていましたか? そして、どんな気持ちでしたか?

自宅で仕事をしていました。編集者の方からお電話いただいたときの第一声は「嘘ですよね?」でした。まったく期待していなかったし自信もなかったので、てっきり騙されているんだと思ったんです。でも、嘘じゃなかったらしくて。驚いて、嬉しくなって、次の瞬間には怖くなりました。あまりに身に余る賞をいただいてしまったな、と。

受賞作のアイディアは、何から着想を得たのでしょうか?

大きい事件を書きたいよね、と思ったのがスタートです。「大きい」といえば、お金かな。じゃあ、巨額な金の絡む事件にしよう。となると金融系かしら……、という風に。そして、金融のなかでも一番ダイナミックな事件に似合う気がして証券会社を選び、クールなイメージのある金融マンとの対比にしたくて、下町を舞台に選びました。下町、昔から憧れの土地なのです。

受賞するまでの投稿歴を教えてください。

2回目の応募です。第21回に応募しました。今回とはまったく違う雰囲気で、不思議系の日常を書いた短編でした。

ご自身の作品のキャラクターの中で誰が好きですか?

自分とほとんど正反対の性格のため、一番書くのに苦労したのが主人公の橘立花でした。だからその分、彼女には憧れめいた愛着を抱いています。もしも現実世界で近くにいたら、ちょっと怖そうだけど……。誰も彼も、皆大好きなキャラクターたちですが、一家にひとり居て欲しいのは下町の洋食屋の二代目店主、辰蔵老人。頑固だし怒りっぽいけど、根は優しくて人情家。料理が上手いのが、素敵!

執筆時に苦労したことを教えてください。

金融という専門的な分野を選んでしまったため、知識のなさに苦労しました。入門書を買ってきて読んだり、詳しい方に教えていただいたりして、なんとか形にできました。それに、舞台に選んだ人形町は行ったことがなかったので、執筆前に一日かけて街を歩き回ってみました。苦労した、というほどのことではないけれど、とにかく足が疲れまして。欲張って色々とお土産も買ったので、懐もちょぴり痛みました。

今後、書いてみたい作品などありますか?

ジャンルを限定せずに、色々なものを書いてみたいです。ミステリーやホラー、ファンタジー、苦手な恋愛物なんかも、機会があれば。それから、たとえば知られざる歴史上の偉業を成し遂げた人物の一生を追う物語などにも、興味があります。

目標・抱負を教えてください。

ページをめくっている数時間の間は、浮世のしがらみをすべて忘れて楽しめるような、そんな作品を、できるだけたくさん読者の方にお届けしていきたいと思っています。 現実の生活って、辛いことも苦しいことも、切ないことも悲しいことも、山のようにありますよね。それを、せめて本を読んでいる間は忘れて欲しい。そうできるような作品を、全力を尽くして生み出していきたいです。

読者には作品のどんなところを楽しんでほしいですか? 作品のアピールポイントなどを教えてください。

なかなかに図太く、打たれても、凹むより先に怒鳴り返すのがこの作品の主人公です。 順風満帆のはずだった人生が、一転。突如としてすべてが崩壊するという悲劇に見舞われて、主人公が選んだのは泣き寝入りではなく、諦めることでもなく、真相の追及です。 そんな主人公と一緒に、謎解きを楽しんでいただければと思います。

読者の皆さんへのメッセージ

寝ても覚めても金儲け。ただひたすらに〝損得〟だけを勘定する世界で生きてきた主人公が、ひょんなことから貧乏だけど元気な下町の人間たちと出会います。そして、事件が起こって、さぁどうなって行くのか……。金融系のサスペンスと言うと難しいと思われるかもしれませんが、そんなことはありません! 株取引をされたことがある方も、ない方も。金融や経済に詳しい方も、そうでない方も。きっと皆さまに楽しんでいただけるんじゃないかなと思います!

トーキョー下町(したまち)ゴールドクラッシュ!

著/角埜杞真  イラスト/阿弥陀しずく

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