これまで自分は、褒められて成長するタイプだと思っていたのですが、今回、受賞作の改稿にあたって、編集さんの厳しい愛のムチを受けている内に、本当は『ドMなのでは?』ということに気づかされました。今ではもう、改稿指示が欲しくて欲しくてたまりません。
ピアノ、バレエ、英会話、フラワーアレンジメント、料理……残念なことに、その全てが中途半端な腕前です。
物心がついた頃には妄想を始め、小学生の頃には二次創作をやっていました。二次創作のきっかけはお友達との交換日記。日記のはずが、どちらからともなく物語を書くようになり、お互いにストレートな感想をぶつけあうようになり、ほのぼの日記のはずが、だんだん険悪ムードになった記憶があります。
いつものように会社から帰り、出来るだけ平常心で過ごしていましたが、待てど暮らせど電話が鳴らず、今日は諦めて『さぁ、お風呂にでも入ろうか』と思った時に連絡を頂きました。『結果から言いますと、銀賞です。遅くなってすみません。今、バタバタしてますんで。じゃ!』という感じでした。全く余韻というものはありませんでした。受賞連絡までの1か月間、『イケるような、イケないような』微妙な気持ちが行ったり来たりしていましたから、その時は嬉しいというよりも、受賞できてホッとしたというのが正直な気持ちです。
本作の前に、大真面目な時代小説を一本書きました。それは上杉謙信を敬愛するあまり一気に書き上げてしまった、つまり妄想が暴走した悲恋物語だったのですが、受賞作はそのスピンオフということになります。悲恋のスピンオフがなぜコメディになってしまったのかは、自分でもわかりません。
電撃大賞への応募は初めてでした。実は趣味で2年ほどミステリー系文学賞に投稿していて、通過者の欄で、よく見かける名前の方がおられ、私はその人を勝手にライバル認定していたわけですが、同じ期で同じ賞に残ったことがなく、彼女が『今年は電撃大賞に出してみる』とツイッターで呟いていたのを見て、『よし、今度こそ直接対決だ!』と電撃大賞のことをよく知らないまま投稿してしまいました。いざ受賞してみたらびっくりするほど華々しい賞で、腰を抜かしそうになりました。
長尾景虎(後の上杉謙信)です。自分がユルユルな性格なので、どうしてもストイックな人に憧れてしまいます。織田信長は自分勝手なので嫌いだし、武田晴信(後の武田信玄)もガツガツしててイヤです。もう一人の武将系男子、氷川警視も非常にストイックでカッコいいのですが、真面目過ぎてちょっとズレています……。何にせよ、作者がいい加減なので、大好きなはずの真面目でストイックな人ほど酷い目に遭うという残念な展開です。
執筆の時は好き放題書いていたので、ただただ楽しく、何の苦労もありませんでした。が、『コメディなので何でもありよね!』とか思っていたら大間違い。編集さんから鬼のようにツッコミが入り、改稿はマジで死ぬかと思いました。
実は、昨年、偏差値27だった息子が、1年足らずの努力で大学付属系の中学に合格しました。この体験談をもとに『ビリ・ボーイ』というタイトルでドキュメンタリーを書こうと思ってま……え? もうある?
というわけで、今後については迷走中です。仕方ない。今度は石田三成か、真田幸村でも城ごとタイムスリップさせるかな……(笑)。
今後については現段階で全くのノープランです。でも、『安心してください』(←誰も心配なんかしてくれていないと思いますが)、これまでに書き溜めたゴミのような持ち玉がいっぱいあります。これから一所懸命、磨いてダイヤモンドになる……といいな。 そして、もともとミステリー系の物語を書いているので、コメディーはもちろん、他のジャンルでも認めていただけるような作者に……なれたらいいな。
主人公の『千奈美』は恋にも仕事にも一生懸命なのですが、いつも空回りしてしまう新人SPです。その彼女が警護することになる超ストイックな戦国武将『長尾景虎(のちの上杉謙信)』は一緒にタイムスリップしてきた自由奔放の権化『織田信長』の影響で、どんどん現代社会に毒されていきます。戦国大名たちが俺様……いや、その殿様ぶりをいかんなく発揮する大混乱の状況下で、千奈美は憧れの上司であるエース級SPの『氷川警視』との恋を成就させることが出来るのか。千奈美の見事な空回りぶりを楽しんで頂ければ、と思います。
『恋するSP』は、三人の武将が現代へタイムスリップしてくる物語です。しかも、彼らは城ごと、『超殿様スタンス』のままやって来ます。そんな武将たちを迎え撃つ……、いや、警護するのは一生懸命だけれど空振りばかりのド新人SP『千奈美』と美貌の肉食系SP『美紅先輩』、そして、彼女たちの上司であるエース級SP、これまた武将系男子でもある『氷川警視』です。『武将@ファミレス』、『武将@USJ』、『武将@合コン』などなど、有り得ないシチュエーションを楽しんで頂けたら幸いです。