飲食系のお店で働きつつ、漫画を描いています。現在、B級映画の鑑賞にハマっています。王道から逸れて、独自の道を突っ走っているような作品が好きです。いつか自分でも、そんな作品が作れるようになりたいと思っています。

この度は、このような素晴らしい賞をいただきありがとうございます。執筆にあたり、協力してくださった方々に、深く感謝しております。今回、初めてコミカライズに挑戦させていただきました。原作の魅力が壊れないよう、自分独自の味を出せないものか、少しでも多く原作のネタを拾いつつ、いかに少ないページで収めるか、と試行錯誤の連続でした。まだまだ至らぬ点の多い、未熟者ですが、より良い作品が作れるように、頑張りたいです。

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

• 高河ゆん（漫画家）

  とにかく原作にぴったりのかわいさで、作品をよく理解して上手くマンガに仕上げています。また、いろんな原作を作画できる安定力があります。どんどん描いて欲しい人です。

• 綱島志朗（漫画家）

  これを描いた方は、おそらく自分の描けるもの、描けないものがしっかりわかっているんだと思いました。題材のチョイスからキャラの掛け合い、ドタバタ展開が本当にうまい。今後もこのジャンルにあわせた絵づくりを頑張っていってください。

• 大河内一楼（アニメーション脚本家）

  まず、センスのいい人だな、と思いました。ストーリーの飛ばし方とか、コマ割りで寂しさを浮き出させる感じとか。会話ではなく、コマを並べることで楽しい時間が表現されていたり。それぞれ押しつけがましくなく、とてもスマートに感じました。女の子がとてもかわいらしく描けているので、この原作を選んだのは正解だったと思います。兄・京介の視点というのが、きちんと通してあるおかげで、読みやすかったし、個人的には安岳さんのオリジナルも読んでみたくなりました。

• 吉積 信（株式会社バンダイナムコゲームス『テイルズ オブ』シリーズ統括プロデューサー）

  原作の中の１エピソードを、１本の完結した作品にすることはある意味非常に難しいことなのではないかと思います。お話としては起承転結があったとしても、完了感がなければ作品評価として損をすることになるかもしれないからです。その意味でテーマをより明確にするために独自にエピソードを加えた選択は正しかったと思います。ただ、画力と演出力が、私にはどこかで見た風に感じられてしまって「見惚れる」ようなコマが無かったのが残念でした。

• 鈴木一智（アスキー・メディアワークス副ＢＣ長、第２編集局統括編集長）

  名場面とも言える黒猫との出会いのエピソードを持ってきたのは正解。描き手が原作の魅力を良く理解しており、キャラクターにもオリジナルイラストのかわいさが上手く活かされています。コミックとしての作りもしっかりしており、20歳とは思えない画力。これからの伸び代にも期待できますので、是非オリジナル作品にもチャレンジしていただきたい。

• 梅澤 淳（第1編集局担当局長）

  個人的にコミカライズ作品の審査では「原作の理解力」「コミックならではの表現力」を基準としたのだが、その両方ともに及第点を与えられる出来栄え。やや会話を丁寧に拾いすぎて冗長な印象もあるが、ディフォルメの効いた可愛い絵柄はたいへん魅力的。