第21回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

銀賞受賞作

Minoru

想定作品『花の佳音』

著/雨宮 諒

受賞者プロフィール

大阪生まれのイラストレーターです。京都精華大学デザイン学部VD学科イラストレーションコース卒業。動物や人物などをモチーフに模様を組み合わせながら独特な雰囲気の作品を多数制作しています。装丁・CDジャケットや商業施設のビジュアル・グッズデザイン等多分野で活動中。個人でポーチやマグカップ等のグッズをデザイン・制作し販売しています。

受賞者コメント

この度は光栄な賞をいただきまして本当にありがとうございます。今年のはじめに自分の制作に対して「このままでいいのだろうか?」という気持ちがあり応募させていただきました。この1年は自分なりに色々と挑戦する年になり、その行動が実を結び嬉しい気持ちで一杯です。課題作品にはタイトルの優しい響きとあらすじを読み気になっていた雨宮諒さんの『花の佳音』を選びました。草介の飄々とした表情と、個性的な花たちを表現できればと思いながら楽しく制作しました。今見ると反省点もありますが当時の精一杯だったので満足しつつ、もう一度違った構図で『花の佳音』を描いてみたいなぁと思います。これからも楽しく制作していきたいです。

選考委員選評

  • 天野喜孝(イラストレーター)

    和と時代を感じさせるモチーフや色使いが独特で、これまでの受賞作とは傾向が違っていてとても新鮮でした。どこかノスタルジックで、とても優しい作風に、読む人の想像を喚起させる力があると感じます。キャラクター自体を魅力的に描く技術力という点では賛否分かれると思いますが、小説世界を絵として創造する力が高く、自分の世界と充分なセンスを持っていると思いました。

  • 出渕 裕(デザイナー、イラストレーター、アニメーション監督)

    今回の最終選考作品の中で、一番独自性のある方だと思いました。パーツ選びが洗練されていて、抜きどころがわかっている色使いとデザインです。巨大少女の描かれたモノクロのオリジナル作品は、浮世絵的で個性的ですね。和と時代を感じさせる作風は、自分の好きなものを突き詰めていて洗練された美学を感じます。逆にそこが表現の幅の狭さにつながるのかもしれませんが、安易に多様性を求めずに、ジャンルアーティストとしてこのまま極めていくのがよいと思えました。

  • 衣谷 遊(漫画家)

    今回の最終選考作品の中で、一番ユニークで面白い作品だと思いました。デザイン性や発想をとっても同じタイプのものがありませんでした。この何とも言えない緩さみたいなものが魅力ですね。ただ、僕の好みとしては、モノクロの作品についてはもっとカッチリとしたものがあったほうがよかったのと、キャラクターの表情はまだまだ課題があるのではないかと感じられます。

  • 緒方剛志(イラストレーター)

    僕個人として、純粋に大好きな絵です。たとえばキャラクターの表情でいえば、他とは違ったところがありながら、かつ可愛い作品を評価したくなるのですが、まさにそんな作品でした。モノクロのオリジナル作品である大きな女の子の絵もユニークで、カラー作品も素晴らしいと思いました。これからもこの絵が見てみたいので、描き続けてください。

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    一目見て気をひかれる作品でした。雰囲気があって、小説の一場面というよりは、まるで一枚の絵画を見ているようでした。デザイン性も高いので、装丁作品に向いていると思います。キャラクターものとして見ると少し物足りなさを感じますが、雰囲気を描くという独自の作風を持っているので、ぜひ続けていってほしいです。

  • 和田 敦(電撃文庫プロデュース室室長、電撃文庫編集長代理)

    応募作品の中でも非常に目を惹く作品でした。カラー作品は『応募されたイラストを書店で文庫の装丁として見たとしても問題ないのでは?』と感じるレベルだと思います。メディアワークス文庫でも応募作品のような装丁のものは存在しますし、ぜひご自身の個性を武器として表現し続けてほしいです。一番気になったのはモノクロ作品の巨大少女です。浮世絵世界の街と現代的な少女が混在した物語を、ぜひとも本人に聞いてみたいと思いました。

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