第21回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

銀賞受賞作

ユウナラ

想定作品『猫の地球儀』

著/秋山瑞人

受賞者プロフィール

大阪生まれ。二十歳で旋盤工となり貯蓄のち絵の道を志し上京。わりと早い段階でポッキリと挫折し、その後またあらためて気の長いイラスト上達計画を立て、励みつつフリーターとして職を転々しつつでその後諸々と。今年で三十路となりそろそろ頃合いと、成果を確かめるべく賞に応募しました。ネコ好き、喫茶店好き、ラノベ好き。作文は苦手です。

受賞者コメント

この度は素晴らしい賞をありがとうございました。思えば子供の頃、親に「漫画ばかり見てないで小説も読みなさい!」と尻を蹴られ、暫らくのちドヤ顔で買ってきたのがまだ創刊当初の電撃文庫でした。とても感慨深いものが。『猫の地球儀』は初めて泣いた小説作品でした。魅力的な作品多き電撃文庫ですので想定作品には大いに悩みましたが、ライトノベルの思い入れの原点の一つであり、少女が描け、メカが描け、ネコも描けると又読み返してこれしか無いと。イラストレーターとしてはまだまだ入り口で、描けない、描きたいもの、表現が無数にあります。奢らず謙虚に活動を広げていきたいと思います。

選考委員選評

  • 天野喜孝(イラストレーター)

    メカや装飾が細かく描きこまれていて、独特な着彩も他とはどこか変わっていて存在感がありました。工夫とこだわりが見られるので、課題作についても、カラー、モノクロともに、原作の絵を越えるプラスアルファがもっとあってもよかったのかもしれません。技術力はすでに持ち合わせていらっしゃると思いますので、ぜひ自分にしかできない解釈や発想を絵にしてみてください。

  • 出渕 裕(デザイナー、イラストレーター、アニメーション監督)

    カラーの課題作品は懐かしさやホッとできるものを感じました。モノクロ作品も、まるでカラーの延長線上にあるような珍しい描き方ですね。自分の世界観があること、自分のやりたいことが明確だったことから、今回一番に推した作品です。上手だけどみんなが同じ方向を向いている現状には珍しく、流行を気にせず自分の道を歩いている。このまま、やりたいことや、自分の作風を突き詰め、ソリッドに研ぎ澄ませていってほしいです。

  • 衣谷 遊(漫画家)

    今回一番目をひかれた作品で、カラー作品の色味が独特ですね。最近の絵には珍しくアナログ感があってきれいすぎず、あえて濁り感を出しているところが面白いです。また、光と影の意識の仕方も興味深く、ぼんやりした光の描き方にとても魅力を感じました。どの作品もディテールがしっかり描き込みされていますし、技術はもちろんのこと、自分のカラーが出せていて、全体的に素晴らしかったです。

  • 緒方剛志(イラストレーター)

    カラーとモノクロの課題作にある猫はとくに上手に描けていると感心しました。僕はたぶんこんなに上手く猫は描けません(笑)。全体的に躍動感があって、楽しげで、生き生きとしていたところがよかったです。メカについては少し懐かしい雰囲気で、それが味でもあるのですが、もう少しアレンジされた新しいものを見てみたかったと思います。

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    カラー作品の色味が、鮮やかな中にもくすんだ色合いを持ってきているのがとても印象的でした。モノクロ作品にはとくに、構図を重視しているなと感じ、空間の使い方がとても上手かったですね。今回の最終選考作の中で、一番個性的な作品だと思いました。このテイストは独自性につながると思うので、大切にしてほしいです。

  • 和田 敦(電撃文庫プロデュース室室長、電撃文庫編集長代理)

    すごく空間を個性的に魅せている作品だと思います。どの作品も空間の見せ方にこだわりを持って描いているのだなと感じられました。また同時に、モノクロ作品もそれぞれに魅力を変えて演出していて、応募に懸ける意気込みも感じました。ただ個性はあるのですが、もう少しキャラクターの魅力もアピールして欲しかったです。キャラクターの動きという面ではやや物足りなさを感じてしまいましたので、その部分も強化するとより魅力のある作品を描けるかと思います。

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