第22回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

銀賞受賞作

はら

想定作品『ちょっと今から仕事やめてくる』

著/北川恵海

受賞者プロフィール

はらと申します。以前はゲーム制作会社のデザイナーとして、UIデザインから3Dモデリングなど幅広く担当しておりました。器用貧乏に成長していく中で「もっと絵に特化したい」という気持ちがだんだん強くなり、思い切って退職し、現在はマンガのアシスタントやイラストの仕事をしながらなんとか生きています。

受賞者コメント

まずはこのような素晴らしい賞をいただき大変光栄に思っております。自分の絵になかなか自信が持てなかったのですが、賞を頂いた事で、少しは自分を認めても良いのかなと思えるようになれました。ここまで絵を描き続け、粘り続けてこられたのも自分1人だけの力ではなく、周りで励まし応援してくれた人達の影響も大きいと思っています。感謝の気持ちでいっぱいです。有難うございます。賞をいただけたとはいえまだまだ未熟者ですのでここで満足する事なく、自分の絵でより多くの人を楽しませる事ができるように頑張っていこうと思います。

選考委員選評

  • 天野喜孝(画家、イラストレーター)

    全体的に作風が完成されている方だと思います。オリジナルのモノクロ作品にあるような躍動感あるキャラクターも魅力的ですし、だるまや鬼といった人以外のキャラクターを活き活きと描けているところが印象に残り、評価につながりました。ただ、カラーの課題作品については、小説世界のイラストレーションになってしまい、原作を知らない人にはインパクトが弱い仕上がりになっています。シーンの選び方や、キャラクターの表情の作り方にも工夫が欲しかったです。

  • 出渕 裕(デザイナー、イラストレーター、アニメーション監督)

    イラストのない小説作品を課題作に選択し、ご自身のオリジナリティで勝負されたことに意欲を感じました。モノクロの課題作品では、年齢の違うキャラクターがそれぞれ個性的でしたし、オリジナル作品の背景にある花などは主線を入れずに塗りの濃淡だけを使って上手く遠近感を出していたりと、技量を感じる方です。中でも、服や小物、鬼などのクリーチャーを自分なりのアレンジを加え、情報を逃がさず一枚の絵にまとめあげたデザイン力の高さが受賞作の中で一番光っていました。

  • 衣谷 遊(漫画家)

    全体的にキャラクターの表情が豊かで、構図も工夫があり、上手くまとまっていました。とくにモノクロのオリジナル作品は、キャラも描き分けられていて、見せたいポイントも整理された強度のある絵になっていて感心しました。一方、カラー作品はどこか散漫な印象があり、モノクロほどの強度が感じられなかった点は残念です。このモノクロ作品をカラーで見てみたいと思いました。

  • 緒方剛志(イラストレーター)

    まず色んなタイプのキャラクターを頑張って描き分けているところがよかったです。モノクロ作品はコントラストが効いていてとても上手いのですが、カラー作品が全体的に色みがぼんやりしていてもう少し工夫がほしかったところです。特にモノクロのオリジナル作品の背景はグレーに寄りすぎていて散漫になっていた点が残念なので、色みとコントラストを意識してみてください。

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    たくさんのパーツが細やかに描き込まれ、工夫があって、応募作としての気概が感じられました。中でもモノクロのオリジナル作品は、じっくり見つめたくなります。とても上手な方なのですが、全体的にインパクトが弱いために損をしているところがもったいないと感じました。何を見せたいかを整理して、バランスと見せ方を研究されればぐっと印象が強くなるのではないかと思います。

  • 和田 敦(文庫プロデュース課編集長、電撃文庫編集長代理)

    まずはイラストのない課題作を選び、既存のキャラクターに捕らわれずにキャラクターデザインをしている所は評価したいと思います。オリジナル作品もしっかりと世界観を作って描かれてますし、モノクロ作品とも連動しているので見ていて心地よかったです。ただ少し、見る者を惹きつけるインパクト不足というか武器になる個性部分が物足りなかったな、という印象も受けました。それでも細かい所まで丁寧に描いてましたし、モノクロ作品の良さが光りました。

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