第23回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

金賞受賞作

『海洋部へようこそ!』(オリジナルコミック作品)

萩埜まこと

受賞者プロフィール

愛媛県出身、東京都在住。物心付いた時から絵を描くのが好きで、小学3年生の時に父に文具店でつけペンや原稿用紙を買ってもらったのを今でも鮮明に憶えています。趣味は洋画鑑賞です。特にヒューマンドラマをよく観るのですが、人と人との心の関わりあいに注目して観ているので、漫画でもキャラ同士の心の動きや関係を大事に描写しています。

受賞者コメント

この度は金賞にご選出いただき、誠にありがとうございました。目標のひとつであった賞を受賞することが、このような栄誉ある賞で達成できて大変光栄に思います。私の作品は読後に「ほっこりする」というような感想をいただくことが多いのでそこを持ち味にして今回の作品作りに尽力しました。電撃大賞がまた新たなスタートラインだと思っているので、この結果を励みに初心と向上心を忘れずこれからも日々精進していきます。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    完成度が高く、文句なしの受賞です。絵もとても上手ですし、キャラクターもとてもかわいかったです。ただ、少しテーマがぶれている印象を受けました。楽しい部活物をやりたかったのか、トライアングルラブストーリーをしようとしたのか、海の生き物にフォーカスしようとしたのか……。全部が入ってしまっているので、何が描きたいのかの焦点をしぼると、より良くなるように感じます。けれども全体の中ではやはり完成度が頭ひとつ抜けており、実力は十分です。今後、いろんな作品にチャレンジしていただきたいと思います。

  • 綱島志朗(漫画家)

    しっかりとしたクォリティー、適切なページ数で、せつない三角関係を描いていますね。キャラの表情、背景も良くてとても新人とは思えませんでした。その分、ストーリー展開が余計に気になってしまいました。もう少し展開に波があっても良かったと思います。恋愛映画を一本見た気分になれて、余韻が心地よかったです。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    まず初見で「レベル高っ!」と思いました。作画もストーリーもキャラクターの描き方作り方、全方位に合格点です。なんでこんな上手い人がコンテストに? と思うレベル。ちょっとだけ残念に思ったのは、部長との恋愛、楽しい部活、三角関係の三つを同時にやろうとしていて、しかも三つの軸とも成立してるんだけど、それゆえに三つの軸がちょっとだけ踏み込み不足になってしまったきらいがありました。軸をひとつ減らしてどれかの軸を太くしたら、もっと心に残る作品になったんじゃないかと思います。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    水族館の生き物ネタをもう少し加えて欲しかった気がしますが、それ以外はいう事なしです。おめでとう! 大変に良いマンガです! 単行本出たら買います! 手慣れた感じの丁寧なネーム、いい感じに今風の絵柄、作画もしっかり。作業時間をちゃんと確保してあげたい作家さんであり、作品でした。空気感については普段の手癖があるように見受けられたので、今のうちに色んなマンガ描いてもいいかも。好きだからってワンテーマで描き続けない方がいい気がしました!

  • 鈴木一智(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 統括部長)

    異能力や極端な萌え等のギミックを一切使わず、青春学園モノに真っ向から取り組んだ良作。力を抜かずに48ページを描き切っており、丁寧に練り上げられた物語世界が読者を引き込みます。ヒロインであるレナの行動原理が若干中途半端で小ネタが弱い部分もありますが、これは続編の展開でカバーできるでしょう。“最近、水族館ものが流行りつつある(編集部員談)”らしいので、それもプラス評価しました(笑)。

  • 梅澤 淳(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 第1編集部担当部長)

    細部まで描かれた丁寧な作画と的確な演出で、ほぼ文句なしの出来でした。また登場人物の表情や仕種(とくに女性キャラ!)など、甘酸っぱい空気感の作り方も上手かったです。ただし、脚本には捻りがなく、先の展開が読めてしまったのが残念。もう少し伝えたいことを絞って、そこをより深く表現していくと、物語にも独自性が生まれてくると思います。

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