第23回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

銀賞受賞作

『pray』(オリジナルコミック作品)

雲谷もや

受賞者プロフィール

新潟県出身。毎日絵を描いて友人とご飯を食べたり猫の尻を追いかけたり充実した日々を送っています。現在専門学校で技術を学びつつ、見識を深めようと努力しています。

受賞者コメント

この度は素晴らしい賞に選出していただき誠にありがとうございます。これだけのページ数を描いたのは初めてで、苦戦しつつも多くの方々に支えていただき、最後まで描き上げることができました。感謝の念に堪えません。まだまだ未熟な点ばかりですが、より良いものをつくっていけるよう、今後も精進して参ります。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    絵もテーマも良かったし、19歳という年齢でここまで描けるということに、非常に期待が持てます。背景も描けてコマ割りもいい。絵についてはまったく言うことがありません。ただ、惜しい点は、全体的に内容が浅い点です。もっとキャラクターの心情や設定を深く読ませることができたら、もっともっとこの作品を、好きになっていただろうなと思います。けれどもそれは描き手自身の若さからくる、経験値の少なさのためだと思います。これからの成長とご活躍が、とても楽しみな方です。

  • 綱島志朗(漫画家)

    ほんとに19歳? この絵の巧さに僕は嫉妬を隠せませんでした(笑)。絵は言うことがないので、後はストーリーに集中してください。この絵を活かす話作りを心がけていけば将来ほんとに楽しみ(怖い)です。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    19歳という年齢にまず驚きました。これだけ完成された絵と、演出と、ストーリー。キャラクターもカッコよく、読者が惚れられるようになっています。このページ数に過不足なく伏線と見せ場がおさまっていて、この先がとても楽しみです。ただ、全方向に優等生すぎて、心に残るものが足りないようにも思えました。作者個人の哲学とか美学が見えないというか。とはいえ、19歳で求めるには過剰な要求だとも思います。裏返していえば、要求したくなるほどの将来性ということです。ぜひぜひこのまま描き続けてほしいです。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    お話がストレートすぎるけど、これはもう描いた人の若さというか、人の良さというか、ひねくれてない感性によるものと思います。すごい頑張った感じでずっとこの原稿と格闘していたのだというのが良く伝わりました。その意気やよし。君が世俗に汚れた後の原稿が読みたい。って、人嫌いかもしれないな。このイノセントな作風は。これから、色々あなたに言ってくる人がいると思いますが、なんでも真に受けないで、自分が好きなものを追い求めてみてください。結局はそれが、業界で長生きする秘訣になるでしょう。

  • 鈴木一智(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 統括部長)

    派遣調査員である二人の青年と生贄の少女の出会いを描いた物語。ファンタジックな世界観と少女コミック系の画風がリリカルなテイストを醸し出す作品です。19歳とは思えない程の高い画力を身につけており、シーン描写やキャラ造形にも安定したスキルを感じさせます。ストーリーの後半部分にもう一捻り欲しかったところですが、これは伸びしろと捉えるべきでしょう。この若い才能がこれからどのように成長していくのか非常に楽しみです。

  • 梅澤 淳(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 第1編集部担当部長)

    物語を破綻なく綺麗にまとめていて、じつに優等生的な作品ですが、伝えたい「命題」がありふれており、最後まで感情移入ができませんでした。身近な事でも良いので、もっと作家さんの生の感情が表現できるような題材を描くことをお勧めします。しかし作画はすごく丁寧で、48Pという長いページ数をきちんと描き切った点は大いに評価します。

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