第23回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

銀賞受賞作

『魔王様の贖罪』(オリジナルコミック作品)

着信なし殿

受賞者プロフィール

大阪在住。破壊光線が出せます。表情の変化をつけて描くのが好きで、可愛い(かっこいい)キャラが少し歪んだ顔にできた時とても素敵な気持ちになります。最近はただ目的もなく財布に入った500円玉を貯金箱にシュートしてエキサイティングするのが楽しいです。

受賞者コメント

初めての経験だらけで沢山のことを学ばせてもらえたうえに賞に選んでいただけて感謝しかありません。いまだに実感も湧きません。原稿のネタを練りだした頃は「なんだこの苦痛は、これが地獄か」と頭かち割れそうなほど悩みましたが、アイデアが出てくるとするすると作業が進み、楽しく描かせていただきました。ここで学んだことを、これから描いていくことにどれだけ反映できるかが今後の課題になったので、目標までいただけました。ありがとうございます。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    すごく面白くて、好きですね。とてもテンポがよく、刹那ごとに笑わせるようなギャグセンスをお持ちですので、魅力的に感じました。ただ最後がまとめきれなかったのか、中途半端に投げ出したように終わってしまったところが非常に惜しいです。勢いで楽しく描いてお終いという描き方は、読み手も楽しいのですが、もうひとつ何かが欲しいなと思いました。きちんと最後まで描ききる力をつければ、大ヒット作家と肩を並べるような作品に成長するだろうと思いますので、ぜひがんばっていただきたいと思います。

  • 綱島志朗(漫画家)

    なんというか……台風が通過していったようなギャグの応酬。瞬間風速は凄まじかったですね。大いに笑わせてもらいました。しかし、台風が過ぎ去った後は余計静けさが目立つように、オチがすこし弱かったかなと思いました。最後までメチャクチャにして過ぎ去ってくれても良かったですよ?

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    面白かったです。題材自体はそれほど目新しくないのですが、キャラクターがとてもイイです! 出てくるキャラクターがみな個性的でダメ人間。彼らがテンポよく笑わせてくれて、一気に最終ページまで読んでしまいました。これが連載されてても、まったく違和感のないレベルです。というか、連載されてキャラクターが増えていくと、もっと面白くなっていきそう。これだけキャラクターが達者なら、他の題材でもおもしろく描けそうなので、次は、もう少し変わった角度から斬り込んだ作品を見てみたいです。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    落ちてない! が! 今すぐ電撃で緊急保護するに値するギャグマンガ家に思えました。鍛えられれば、マンガ誌のラインナップにあって、重い他のマンガを緩和したり、読者をほっとさせたり、心機一転で新たなマンガを読ませる原動力になりそうだと思います。こういう人材は貴重です。編集は利益第二主義でこの希少動物の保護育成に取り組んでほしいです。え。作品の講評ですか。落ちてないギャグマンガだけどその前までは面白かった。

  • 鈴木一智(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 統括部長)

    ラフっぽい絵柄なのに画力を感じさせたり、シュールなコメディかと思いきや実は脱力系だったりと、良い意味で摩訶不思議な個性を感じる作品。個人的には最後のオチが弱いというか、起承転結の“結”がないまま終わっているような印象なのですが、それでも何となく納得させられてしまう作風がこの作者の強みなのでしょう。編集部の評価も高く、他の作品も読んでみたいと思わせるスキルを感じる方です。

  • 梅澤 淳(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 第1編集部担当部長)

    とにかく出てくるキャラクターがすべて個性的で魅力的でした。やや硬質な画風ですが、脱力した表情などバツグンにうまく、楽しく読ませてもらいました。……しかし、ラストが投げっぱなしでオチておらず、そこは減点。「オチ」はギャグ漫画の難しいところですが、せめて投稿作はきちんと挑みましょう。

TOP