第23回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

銀賞受賞作

課題作『とある魔術の禁書目録』(コミカライズ作品)

La-na

受賞者プロフィール

東京都在住。イラストレーターとして活動していましたが、新しい表現や、自身のスキルアップを求め、数年前より漫画の制作にも取り組み始めました。イラストとは大きく違うフィールドでの制作で得た刺激を糧に、新しい表現を開拓していきたいと思っております。

受賞者コメント

このような賞に選んでくださった事、深く感謝を申しあげます。コミカライズは初めてで、小説の読み方が今までとまったく異なり、文章のどこをどれだけ表現するかを深く考えさせられました。題材にした作品の力、キャラクターやシナリオ、その熱量や勢いに大きく助けられ、実力を十二分に発揮出来た結果として賞がいただけたのだと、強く感じております。本当にありがとうございました。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    この方の魅力は、スタイリッシュな作画ですね。絵もうまいし構図もとてもかっこよく描けていて、コミカライズでは、即戦力で活躍できる方です。クオリティが高くて個人的にはとても好きなのですが、アクションとアクションの間などの台詞の選び方がやや冗長でしたので、漫画的なショートカットができるようになるといいなと思います。画面や絵柄のスタイリッシュさと比べて少しモタついている点が気になりましたので、意識するとより良くなるでしょう。

  • 綱島志朗(漫画家)

    純粋にキャラ、背景、アクションがしっかり描けていて迫力もあり、コミカライズという点では文句がありません。なのでアドバイスはひとつ、デジタル作画で線がどれも均等に見えてしまっているので、キャラや背景の処理や線の入れ方に変化をつけてみては?

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    ページを開いた最初の見開きから、もうカッコいい! 絵が達者なのはもちろんだけど、格好良くマンガを描こうという美学と意図を感じます。そしてそれがちゃんと実現されている。一方通行という原作でも屈指の人気キャラクターが、小説の通りに、ちゃんとカッコいい。当たり前のことのようだけど、その当たり前を実現するのはけっこう難しいものです。絵だけの評価なので、ストーリーまで作っている他の作品より、どうしても辛口になりがちなのですが、このカッコよさは十分に賞に値すると思いました。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    高いレベルのコミカライズで文句がない作品です。切り取り方もいいよね。こういう人と組んだら売れそうだわぁと、マンガ原作者としてちらりと思いました。そう思わせたんだから凄いと思います。強いて言うと電子書籍で閲覧した時に見やすすぎて、細部を見ようとピンチインさせない絵に思えました。これはたぶん、繊細な線が少ないからのように思えます。書いたシーンがアクションシーンだから仕方ないとは思いますが、どうせなら絵描きとして、手を止めて絵を見入ってもらう方にも意識払った方がいいと思いました。高く期待しすぎ?

  • 鈴木一智(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 統括部長)

    電撃文庫の大ヒット作品『とある魔術の禁書目録』のコミカライズ。垣根帝督と一方通行(アクセラレータ)の有名なバトルシーンを迫力のある筆致で描いています。原作小説を知らないと分かり辛い部分はありますが、原作担当編集に見せたところ「禁書のダークな雰囲気を上手く昇華させていると思う」とのこと。イラスト仕事も出来そうな画風はコミカライズ向きとも言えますが、この画力をもって是非オリジナル作品にもチャレンジしていただきたい。

  • 梅澤 淳(株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 第1編集部担当部長)

    見開き扉のダイナミックな構図など、目を見張る部分は多々ありましたが、会話シーンなどの演出はわりと単調な印象でした。また緊迫したシーンの連続のせいだとは思いますが、登場人物の表情が全部同じように見えるのも惜しいです。格好良いシーンを印象的に見せるためには、全シーンに力を入れるのでなく、ある種のメリハリが必要なことを覚えていくと、もっと良くなると思います。 

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