第23回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

選考委員奨励賞受賞作

玖住

想定作品『キノの旅 the Beautiful World』

著/時雨沢恵一

受賞者プロフィール

兵庫県出身。大学卒業後は社会人生活を経て現在に至ります。これまで絵に携わってきた期間は長いのですが裏方であることが多かったように思います。今回は絵で表舞台に立ちたいという思いから応募に踏み切りました。はっきりシャープなものよりふにゃふにゃしたもの、硬そうなものより柔らかいものを好む傾向があります。

受賞者コメント

この度は選考委員奨励賞をいただき誠にありがとうございます。受賞のご連絡をいただいた瞬間は人生のなかでもトップクラスの緊張具合だった覚えがあります。応募にあたっての作品作りでは色々なアプローチを考えましたが、結果的に自分にとって一番素直な描き方に落ち着きました。課題作品に選んだ『キノの旅』は昔から影響を受けてきて好きな作品なので今回の受賞はとても嬉しいです。これからは、これまで自分の絵を良いと言ってくれた友人や、挑戦するためにお尻を叩いてくれた近しい人たちへお返しをしていきたいです。今後は、人に見てもらうための絵としてはまだまだ技術的にも未熟な部分を見直し完成度を高め、イラストレーターとして活動ができればと思っています。

選考委員選評

  • 天野喜孝(画家、イラストレーター)

    今回の応募作で一番のお気に入りの作品です。カラーもモノクロも可愛くて、万人に好まれる絵柄を描く能力が備わっていると感じました。特に、淡く柔らかなカラーやライティングが魅力的で、色のバランスもしっかりと取れています。派手な色使いができる方は、淡い色使いも上手いので、きっと派手な色使いもできるバリエーションの広いタイプの方なのだと感じます。個人的にはもっと上の賞でも良いくらい上手いと思いました。

  • 出渕 裕(デザイナー、イラストレーター、アニメーション監督)

    とてもスキルの高い作品です。カラーイラストはサーモンピンクなどご自身の好きなカラーが押し出されていて、個性が光っていました。しかしどちらも同じ色合いなので、片方の色は変えた方が良いでしょう。モノクロイラストはどれもテイストが異なり、バリエーションの豊かさが魅力的でした。必要な余白が取れてレイアウトの収まりも良く、影を落としたりポップな処理をしたりと、色々なことに対応できるスキルがあると感じました。温かみのあるカラーや作品の多様性はこのまま大事にして伸ばしつつ、もっと幅を広げてもらいたいと思います。

  • 衣谷 遊(漫画家)

    カラーイラストに独特の透明感が出ていて良いと思います。強い原色を使わず、淡い色を使っている点が個性になっています。特に金髪の女の子の表情や髪の毛が可愛く、ポーズの付け方も上手いです。モノクロのオリジナルは、髪をとかしている女の子の絵がポップな感じで動きもあり良いと思いましたが、座っている男女の絵は小物などの細かい背景やディテールをもっと丁寧に描くとさらに良くなるので、もったいないと感じました。

  • 緒方剛志(イラストレーター)

    玖住さんならではの絵柄が出来上がっていて可愛く、カラーイラストは髪の毛や桜、水の表現など淡い色みが綺麗です。課題カラーの桜がラフに描かれたものとしっかり描かれているものがあって、水に落ちた時間差を感じられて良いなと思いました。モノクロオリジナルイラストの髪をとかしている女の子も、懐かしいアイドルアニメのような感じがして面白いです。あまり描き込みをされていない、飛ばして描かれた背景や小物の立体感にやや不安があり、そこは少し残念でした。

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    キャラクターがとにかく可愛く、安定して描けています。パターンは少ないかも知れませんが、心を掴むキャラクターを描ける人だと感じました。背景が苦手なのかもしれませんが、無理するよりは、この応募作品くらいに思いきってキャラクターで押していって良いと思います。光と影のバランスが取れているので、キャラクター小説としては十分商品になるクオリティです。

  • 湯浅隆明(電撃文庫編集長代理、電撃文庫MAGAZINE副編集長)

    やわらかくポップなキャラクターがどれもかわいく魅力的です。カラーの2枚は構図やアクセントもよく、カバーイラストとしても通用しそうな完成度だと思いました。あとは背景や、キャラの魅力を見せるだけではない挿絵的な構図も見てみたかったです。またキャラクターについて、より工夫を重ねて玖住さん独自の魅力を出せるようにすれば、さらなるステップアップができると思います。個人的にはもう少し目力が増すといいと思いました。

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