第26回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

金賞受賞作

コタチユウ

想定作品『イリヤの空、UFOの夏』

著/秋山瑞人

受賞者プロフィール

岡山県出身。現在東京でゲーム会社に勤務しています。絵を見た人に想像を膨らませてもらえるような、含みを持つ絵を目指しています。制作では音楽や映像から影響を受けることが多いです。

受賞者コメント

この度は栄えある賞に選出頂き、誠にありがとうございます。まさか自分に縁があるとは思ってもいなかったので、受賞のご連絡を頂いた時はただただ驚くばかりでした。選考中、何度も絵を見返しては反省し落ち込む事も多かったのですが、そういった葛藤も無駄ではなかったと救われるような思いです。今回の受賞は自分の力だけではなく、日々支えてくれている家族やご指導いただいている職場の方々のお陰です。その方々に恥じないよう、これからも絵と向き合い、より人の心に残る作品が制作できるよう精進していきたいと思います。

選考委員選評

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    この方は空間の見せ方がとても上手で、絵の構成が大変凝っています。物語性をしっかりと伝えられていますし、構図についてはプロでも通用します。特に課題のカラーイラストに一番目を惹かれました。色のバランスも映えていて、真ん中の女の子に当たっている光と周りの暗さの対比も絶妙ですし、フェンスのイラストはなかなか思いつかない構図をしていると思います。カラーイラストはバッチリなので、モノクロイラストの背景のタッチをぼかしたり、もう一歩踏み込んで工夫を加えられると、さらによくなると思います。キャラクターの心情的な部分を描くのは大変上手ですので、自分の得意分野をしっかりとあたためて伸ばしてもらいたいです。

  • abec(イラストレーター)

    全ての作品に物語性とメッセージ性がしっかりと込められていますし、またどの作品も考え尽くしたうえで、さらにチャレンジをされている点もいいと思います。特に『イリヤの空、UFOの夏』のカラーイラストは、僕には描けない一枚です。色味の美しさや陰影の扱い方、ヒロインの女の子の扱い方で、作品の世界観を上手く表現されていると思います。しかし一方でキャラクター単体で見た時、魅力に物足りなさを感じました。シチュエーションを取り去ってキャラクターだけを残した時、それ単体で勝負できるキャラクターを描けるようになることが、今後の課題だと思います。

  • loundraw(イラストレーター、作家、漫画家)

    絵を描く上では技術的なこと以上に、何を見せたいか、何を表現したいかが大事になってきますが、この方はその点に長けていることが受賞の要因となりました。全体を通して陰影のバランスがとてもきれいにとれており、見せたいものへの意識が高く素晴らしいです。課題イラストの空を見上げている女の子への光の当て方など、画面内の視線誘導がとても上手で、デザインセンスの高さも感じました。絵柄の方向性と合わせて考えると、パースや空間の作り方、背景をより正確に描くような技術的部分を磨くと武器として活きてくると思います。これからどんどん絵柄も変わり、技術が向上すると思いますので、どんな作風になってゆくのか今からとても楽しみです。

  • 荒木人美(電撃文庫副編集長)

    イラストを見た瞬間、カラー2点の光の入れ方の美しさと、構図の懲り方に視線を引きつけられました。どちらのイラストも空の色に「切なさ」を感じ、訴えかけてくる物語がありました。またカラー以外のイラストも構図や全体のカラートーンが意識されており、「人に見せる絵」にしようという作者のこだわりが感じられ、見ていて気持ちが良かったです。キャラクターに関しては、カラーの『イリヤの空、UFOの夏』を見ると、等身バランスに多少の迷いが見られました。ご自身の絵柄に合ったキャラクター造形を模索していかれるとより良くなるのでは、と思いました。さらなる飛躍に期待しています。

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