第26回 電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

大賞受賞作

『声優ラジオのウラオモテ』

著/二月 公

電撃文庫

声優ラジオのウラオモテ

著者   : 二月 公
発売日  : 2020年2月7日

ギャル&陰キャの放課後は、超清純派のアイドル声優!?
プロ根性で世界をダマせ!《声優ラジオ》NOW ON AIR!!

ギャル&陰キャの放課後は、超清純派のアイドル声優!?
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あらすじ

「夕陽と~」「やすみの!」「「せーのっ」」
「「コーコーセーラジオ~!」」
 同じ高校に通う仲良し声優コンビが教室の空気をそのままお届けしちゃう、ほんわかラジオ番組がスタート!
 でもパーソナリティふたりの素顔は、アイドル声優とは真逆も真逆、相性最悪なギャル×陰キャで!?
「……何その眩しさ。本当びっくりするぐらい普段とキャラ違うな『夕暮夕陽』、いつもの根暗はどうしたよ?」 
「……あなたこそ、その頭わるそうな見た目で『歌種やすみ』の可愛い声を出すのはやめてほしいわ」
 オモテは仲良し、ウラでは修羅場、収録が終われば罵倒の嵐! こんなやつとコンビなんて絶対無理、でもオンエアは待ってくれない……! 前途多難な声優ラジオ、どこまで続く!?

受賞者プロフィール

ラジオを聴くのはもっぱら通勤中。憂鬱な月曜日も、疲れて帰る水曜日も、聴いている間は楽しい気持ちにさせてくれます。日々の潤い。しかも今回、人生に大きな影響を与えてもらったので、ますます頭が上がりません。

受賞者コメント

電撃小説大賞に応募する際、もちろん大賞を目指しはします。しかし、自分が大賞を獲る姿は欠片も想像できていませんでした。大賞が存在するのは知っていますが、現実感がないというか……。そのせいか、未だに実感がありません。というより、これから実感って湧いてくるものなんでしょうか……。今は贈呈式で色んな方のお話が聴けるのが楽しみです! 同時に何か粗相をしないか心配でもあります……、もし何かありましたら、ご指摘いただけると幸いです。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

  • 三雲岳斗(作家)

    ほぼ満場一致で大賞に選ばれた作品です。まずは職業モノとしてのテーマの着眼点が素晴らしいと思いました。主人公はもちろん登場人物それぞれが魅力的で、地に足の着いた丁寧な日常描写も高評価。ただ、最後の事件のオチが早い段階で読めてしまうことと、クラスメイトの男子が悪役として救いのないまま退場してしまうのが残念でした。ラストがもうひとひねりあったら本当に隙のない傑作になるはず。期待しています。

  • 三上 延(作家)

    一読して大賞に推そうと思うほどの完成度でした。全く反りの合わない女子高生の声優二人がラジオ番組をやらされるというシチュエーションがまず面白い。最初は対立している彼女たちが、やがて互いを認め合っていくストーリーはまさに王道です。主人公たちの家族や友人、マネージャーなど各キャラクターの配置も申し分ないのですが、欲を言えば、読者のポジションに最も近いであろうリスナーの造形に、もっとバリエーションがあればと思いました。

  • 吉野弘幸(アニメーション脚本家)

    自分の本業はアニメ屋なので、こういう業界モノはまず警戒してから読み始めるわけですが……そんな予想を強烈に裏切ってくれる好い作品でした。業界の内輪話も大きく外してはおらず、『お仕事もの』また『異種女子友情もの』としてもしっかりと楽しめた一方で、物語の展開そのものは、期待した物語が期待した展開と結末を迎える心地よさは味わえたものの、その予想の範囲を出ることがなく、そこだけは少し残念でした。

  • 神 康幸(映像プロデューサー、株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長)

    「アニメ声優」というジャンルを大きく飛び越えて、みんなに愛される青春小説になるだろう。映像化・舞台化、必至か。冒頭に主人公二人が猛烈に言い争うシーンを配置したのが大正解。物語が進むごとに、レギュラーラジオ番組の放送回数が増えていく構成も、膝を打った。ラストで、「自分の正体がバレてもいい」と決意しての長ゼリフは、心からの感動。個人的には、前半でもっと二人のいがみ合いを目撃したかった。それほど、二人の口喧嘩は面白い!

  • 湯浅隆明(電撃文庫編集長)

    笑えて泣けて熱くなれる3拍子揃ったコメディで完成度も高く納得の大賞受賞でした。相性最悪の声優女子2人が、いがみあいながらも一緒にラジオをやっていくうちに距離を縮めていく様子が微笑ましかったです。実はギャルな主人公のさっぱりしたキャラクターも好感度大。また声優やラジオについてもリアリティのある形で描かれており、その点も興味深く読むことのできる作品です。

  • 高林 初(メディアワークス文庫編集長)

    リーダビリティの良い、軽快な読み口で総合的な完成度が高い作品でした。さすがに身バレしないのは無理があるだろうと思いつつも、お約束としての二重生活のハラハラドキドキ感など、楽しませる要素をそつなく取り込んでいらっしゃいます。オチは途中ですぐにわかってしまうという意見もありましたが、予定調和な面白さを追求している作品なので、それほど瑕にはならないと感じました。ヒロインふたりの関係が縮まっていく過程、視点となる由美子の成長譚も丁寧に描かれ、読後感も良かったです。

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