東京出身。幼少期から絵を描くことが好きで、独学でのらりくらり。人生を謳歌しすぎて数年のブランクありますが、やっぱり絵を描くことは好きでした。多分ずっと好き。カメラと映画とダンスも好き。

この度は栄誉ある賞をいただき、大変嬉しく光栄に思います。構図やモチーフや雰囲気、そして今回描かせていただきました「バッカーノ!」、自分の好きを詰め込んだイラストで金賞をいただけて幸甚の至りです。しかしながら嬉しい反面、大賞に届かなかったことは大変悔しくも感じております。選評を真摯に受け止め、活かし、今後も邁進してまいります。日々支えてくださっている方々、この度選評してくださった関係者の皆様、誠にありがとうございました。

• いとうのいぢ（イラストレーター、ゲーム原画家）

  物語性を感じさせる、まるで映画のポスターのような完成度の高いイラストでした。特にオリジナルのカラーイラストは背景の情報量が多いにも関わらずキャラクターが際立っていて、とてもドラマチックだと思います。それとハイヒールと女性のモノクロイラストも構図の発想力に才能を感じました。あえて課題点を挙げるのであれば、背景や構図などの要素を一切取り払って、キャラクター単体で立たせた際の魅力が少し弱く感じます。ご自身の良さを生かしながらその点を補強できれば、より魅力的になると思います。

• abec（イラストレーター）

  ハイヒールと女性を描いたモノクロイラストが抜群にいいです。何より構図が素晴らしく、画面の多くを占めている空白にも計算が感じられる、とてもオシャレな一枚。今回の賞で最も「負けた」と思わされました。オリジナルのカラーイラストも難しい構図ながらしっかり描けていますし、色味も綺麗です。さらに手前にある草の情報量を減らすことで、キャラクターに視線がいくよう計算されてもいます。画力が高く、描き込むのも苦ではない方なんだと思いました。それゆえに何を見せたいのかがわからない、焦点のぼやけてしまった絵が一部見られたたのが惜しいです。『バッカーノ！』のカラーイラストは、イラスト単独では作品が完結しておらず、小説自体の物語に引っ張られすぎた一枚に感じてしまいました。とはいえみな完成度が高く、これからが楽しみな作家さんだと思います。

• loundraw（イラストレーター、作家）

  画面構成と視線の誘導が、とても緻密で素晴らしいです。特にハイヒールと女性が印象的なモノクロイラストは、白と黒の対比が美しく、様々な情報を盛り込みながらわかりやすく説明できていてとてもハイレベルだと思いました。こうした発想力には素晴らしいものがあるという前提ですが、細部を見るとそのアイデアにまだ画力が追いついていない部分が見受けられます。キャラクターが実際にどういった生活をしていて、その絵がどういう瞬間を切り取ったものなのかということを考えて描けるようになれば、より魅力のあるキャラクターになるのではないかと思います。キャラクターの魅力と天性の武器である画面の構成力が合わさった時、いったいどんな絵が生まれるのか楽しみです。

• 荒木人美（電撃文庫編集長）

  どの作品も構図やシーンの切り取り方がよく考えられており、イラストの見せ方をきちんと研究なさっていると感じました。人物メインのものから背景メインのものまで挑戦しておられ、かつ全体としての完成度が高かったです。特にオリジナルのカラーイラストは、構図、色味のバランスともに巧みでした。また、カフェのモノクロイラストには、会話が聞こえてくるような物語性がありました。ただ、課題のカラーイラストは、キャラクターの表情にやや硬さを感じました。オリジナルではない設定をご自身の個性と融合させるのは難しいことかと思うのですが、ぜひ意識して挑戦していただけると、さらなる飛躍につながるのではと思います。