第27回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

銀賞受賞作

月戸

想定作品『七つの魔剣が支配する』

著/宇野朴人

受賞者プロフィール

子供の頃から絵を描くことが大好きでしたが、紆余曲折あり一度は違う道へ。薬剤師の資格を取り薬局に勤務するも、絵の仕事をする夢が諦めきれず、専門学校に入り直してイラストを勉強しました。現在はフリーランスのイラストレーターとして活動しています。物語の一瞬を感じさせるような、雰囲気のあるイラストが好きです。

受賞者コメント

この度は、このような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思います。電撃大賞への応募は今回が4回目です。毎年、1年の集大成のつもりで作品作りを続けてきました。また、電撃文庫は私が子供の頃初めて読んだライトノベルで、イラストレーターという仕事を認識させてくれた存在でもあります。ずっと憧れていた賞を頂けたこと、本当に心から嬉しいです。随分遠回りもしてしまったし、まだまだ満足のいく絵には程遠いですが、今はやっとスタート地点に立つことを許された気持ちです。今後も初心を忘れず、精一杯絵を描き続けていきたいです。応援してくださった方々、このような素晴らしい機会を恵んでくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

選考委員選評

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    キャラクターの個性はもちろんですが、平均点の一番高い方だと感じました。描き込まれた背景、そしてそれに負けないキャラクターが魅力的です。また線画の完成度が素晴らしく、モノクロのイラストがどれも素敵でした。ただカラーのイラストになるとその線がぼやけた印象になってしまい、もったいないと思いました。綺麗な色をたくさん使うことも大切ですが、もう少しだけ引き算をして、本来の線の良さを際立たせる塗り方を研究するといいのではないでしょうか。

  • abec(イラストレーター)

    オリジナルのモノクロイラスト、狐の女の子の表情が可愛く描けていて好みでした。可愛い系の絵柄ながら、電撃文庫作品『七つの魔剣が支配する』を選ぶのが良いですし、カラーイラストも独特の世界観が出来上がって良いと思います。全体的に良くまとまっていて平均点の高い方です。惜しかった点として、オリジナルカラーイラストが、画面の構成的に少し焦点のぼやけた絵になっているところです。構図としてやりたいことや狙いは伝わってくるのですが、今回はその試みが裏目に出てしまったかもしれません。自分の武器を使って、どう効果的に見せるか。そうした意識、読者への細かい配慮を身につければ、更に高いレベルに到達できると思います。

  • loundraw(イラストレーター、作家)

    背景とキャラクターの調和が綺麗に取れており、かつその中で生き生きと人物が描けているので、総合点が高かったです。鳥居のモノクロイラストは、絵の情報量が多い中でもキャラクターに意識が向くようになっており、絵をまとめる実力を感じました。なおかつ、物語性と人物の可愛らしさが両立できているのが素晴らしいです。一方で細かい色使いと、刀の持ち手などの人体の描き込みにはまだ課題があります。「細部に命が宿る」という言葉もあるように、既に持ち合わせているキャラクターの実在感や魅力が、2倍3倍にもなる伸び代が、まだあるように感じました。難しい領域だとは思いますが、突き詰めれば感性の面でも技術の面でもさらに高いレベルに達すると思うので、このままがんばって欲しいです。

  • 荒木人美(電撃文庫編集長)

    キャラクターの瞳が印象的な、透明感のある作品でした。どのイラストも完成度が高く、筆力を感じます。課題イラストは、カラー、モノクロともに構図、キャラクター、色味のバランスが魅力的で、目を引きました。オリジナルのモノクロイラスト2点も、キャラクターの性格や、一体どんな場面なのだろうということが想像でき、ストーリーを感じました。やや惜しかったのがオリジナルのカラーイラストです。柔らかな優しさのあるイラストですが、ほかの4枚と比べると、一番見せたい部分がどこかがわかりづらかったように思いました。ぜひご自身の長所であるキャラクターの魅力を、うまく伸ばしていっていただきたいと思います。

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