第28回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

金賞受賞作

『サイダークエスト』(オリジナルコミック作品)

ぐみさわ

ストーリー

父親から友人の娘の案内を頼まれて、しぶしぶ待ち合わせに向かった大学生の瑠璃。そこに現れたのは、ノリノリの外国人少女・ジェマだった。面倒くさそうに今日の目的をジェマに尋ねると、過去に父が埋めたという「宝物」を探しに日本にやってきたというが——。テンション正反対の2人による宝探しが始まる!

受賞者プロフィール

イラストや商業アンソロジーなどで細々と活動。子どもの頃から友達と街を歩いたり自転車で探索するのが好きで、今後も何気ない風景や出来事を描いていけたらと思っています。

受賞者コメント

この度は金賞という身に余る賞をいただき、誠にありがとうございます。今作で初めて48ページの漫画に挑み、漫画制作の大変さをあらためて実感しましたが、漫画を一から創作する楽しさも味わう事が出来ました。この楽しい漫画の果実をかじり続けられるよう、これからも精進していきたいと思います。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    絵柄の上手さと、「情報がちゃんと伝わる」という意味での絵の上手さの、両方をすでに完全に兼ね備えている方だと思います。キャラクターの表情もとてもいいですし、外人の女の子と日本人の女の子というキャラクターの描き分けも凄く良かったです。内容に対して、ややページ数が多いかなという感じもあったのですが、結果的にはキャラクターの細かいやりとりがみられ、後味もさわやかな良作だったと思います。どんどん漫画を描いて、みんなを楽しませてくれたら嬉しいなって思います。

  • いみぎむる(漫画家)

    個人的には文句なしの金賞で、かなりのページ数がありますが、ダレずに最後まで読めました。物語的にはこの起伏の無さが良さなのかもしれませんが、もう少しストーリー的に「何か」があれば、大賞も狙えていたのではないかなと思います。2人のメインキャラクターも良い感じ。作画面も、人物、背景ともに細かく描かれていて◎。何度も出てくるジュース購入シーンも最後まで読めば、なるほどと納得できる構成。このノスタルジックな雰囲気はすごくイイですね。とても丁寧で素敵な作品でした。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    コマ運び、ストーリー、キャラクター、背景……今回の応募作の中で、抜けて完成度の高い作品でした。審査でも満場一致で今回の一番という評価でした。既に完成された感があるのですが、個人的には破綻を怖れず、もう一歩上を目指してほしい才能です。ストーリーでいえば、もう一展開、一要素、入れられると思います。現状のストーリーが破綻する可能性もありますが、それでも一段階上を目指してほしいのです。これだけの実力があるなら、もう一歩目指さないのはもったいない。そう期待させる作品でした。次回作、楽しみにしています!

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    あらゆる箇所でそつなくこなし、文句がない。このレベルを維持して連載できれば、ある程度の成功は現段階で約束されている。即戦力として有望なのは間違いないだろう。
    今後に関しては量産速度、これにつきる。量産速度は作品を見ただけでは分からないのでなんとも言えないが、質を落とさず、速度を上げる努力をぜひ頑張って欲しい。速度は全てに転換できる。余った日数で質を上げることも、単行本のリリース速度をあげることも、もちろん休むのにも使える。ぜひ、意識して精進していただきたい。

  • 杉原ちあき(株式会社KADOKAWA コミック第3統括部 第8編集部部長)

    満場一致でダントツの一等賞でした。「48ページもの長編をよくぞここまで描き込んだ!」と本当に感心しました。ぐみさわさんに関しては即戦力間違いなしだと思います。一方で編集者の性なのか、「このクオリティを保ったまま本当に連載できるの!?」という疑いが頭をもたげます。ぜひそんな私の疑いを早く吹き飛ばしてほしいです。その力を世の読者に見せつけてください!! 今後の活躍を期待しています。

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