入選作品
部門

銀賞受賞作

『ウルトラストーカー』(オリジナルコミック作品)

くわばらたもつ

ストーリー

SNSで人気のかわいい女子高校生は注目の的。今日もどこからか見られている……。その思いは、一方通行のようで——。

受賞者プロフィール

主に百合作品の同人活動、商業ではアンソロジーや読み切りを寄稿。近況はドラムを始めたのですが何も叩ける気配がないまま半年が経ってしまいました。

受賞者コメント

この度は銀賞にご選出いただき誠にありがとうございます。まさか入賞するとは思わず、身の引き締まる思いです。今後もこの賞を励みに漫画に取り組んでいきます。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    個人的に好きでした。もっと読みたかったなあっていうのがありますね。「気持ち悪い」という個性もハッキリ出せていますし、色んな気持ち悪さが重なっていてとても良かったです。絵も上手く、軽いタッチの中でもしっかり芯のある絵でいいなと思いました。また、セリフの視点や二人の関係性などに、わざと違和感を持たせる描き方を意図的にやっていて、途中軽いストレスを与えられるも、最後きれいに解消されていくというカタルシスを感じられました。

  • いみぎむる(漫画家)

    ページ数としては短いのですが、内容的にはいろんな意味で濃い作品でした。物語の冒頭で一瞬誰が喋っているのかわからなくなり混乱する場面がありましたが、それ以外は非常にうまく構成されていたと思います。過去の小川愛花と由良の出会いのシーンはいろいろと想像ができる演出で良かったです。気持ち悪く魅力的なキャラクター、それを表現できるデザイン力と画力・構図・演出力がとても優れていました。個人的にはすごくお気に入りの一作で、ぜひ続きも読んでみたいですね。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    表紙の雰囲気がまず良くて、本編を読む前から惹かれました。ページをめくっていくと、視点の混乱という軽いジャブから、でも読みづらくなる前に本来の視点に着地。そこから物語を展開していって……と美しい流れでした。バスタブの大ゴマもいいですね。残念だったのはページ数が短すぎること。そこまで面白く読んできたのに、ラストで「え? これで終わり?」という感想が先にきてしまいました。それだけ期待感を持たせたということでもあるので、次回はもうちょっとたっぷり読ませてほしいです。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    女性ストーカーの気持ち悪さが出ていて最高に良かった。まだ未熟なところはある、が、それを打ち破る表現の力があるように思えた。もう少し細やかな部分で心理表現ができるようになると、もっといい感じになると思う。感情表現をモノで表現する基本的技術はあるように思えるので、それをもっと駆使すれば、ぐぐっと上がる、ハネる作家になれると思う。伏線について勉強してモノの感情表現、例えば小物とかでキャラクターの気持ちを出すことができれば、おそらくミステリーなどにも進出できるだろう。前途有望!

  • 杉原ちあき(株式会社KADOKAWA コミック第3統括部 第8編集部部長)

    個人的には好みの印象的な表紙だったので、期待しながら読み始めました。と思ったら、あっという間に読み終わってしまって、読後感は最悪。まさに「気持ち悪い」でした。表紙の印象を遥かに上回るラストのインパクトは「気持ち悪い」んだけど「素晴らしい!」と思います。くわばらさんのセンスにやられました…次の作品もぜひ読みたいです。

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