第28回電撃大賞 入選作品
電撃イラスト大賞部門

金賞受賞作

烏丸ヨウイチ(※応募時「木曽ヨウイチ」より改名)

想定作品『始末屋 池袋てるてる坊主殺人事件』

著/青木杏樹

受賞者プロフィール

生まれの大阪を出て京都で活動中。趣味は絵を描くことをはじめとしてたまに服を作ったり。基本的に自分が欲しいと思ったものをあの手この手で作るのが好きです。服は主に着物が好き。

受賞者コメント

この度はこのような栄えある賞をいただき、大変光栄に思います。大して誰かから評価されることも無くうだつの上がらない日々を送っていたので、電撃大賞に応募してまずは評価シートが欲しいといった動機でこの度応募に至りました。まさか金賞という輝かしい賞を頂けるとは思いもよらず、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからは何かあっても金賞の評価を誇りに活動し、様々なことに努力を惜しまず、邁進していきたいと思います。

選考委員選評

  • いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

    独自の世界観が確立されていて、まるでセピア色の映画を見せられているような雰囲気のあるイラストを描かれる方だなと思いました。特に素晴らしいと感じたイラストは、オリジナルのモノクロの戦闘メイドです。レトロモダンの雰囲気にキャラクターがマッチしていて、空間の使い方と作家性がとても生きた一枚でした。描きたいと思っても真似のできないイラストだと思います。作家性の強さは作品を選ぶデメリットにもなる場合があるのですが、毒がある感じの絵柄がこの方の持ち味だと思うので、自分が活躍できる場で作品を描き続けることができれば、他の人が太刀打ちできない、唯一無二のイラストレーターとして評価されていくと思います。

  • abec(イラストレーター)

    絵の線や形が気持ちいい人を僕は評価する傾向にあるのですが、その意味で、今回一番好きな絵柄の方でした。キャラクターも魅力的ですし、デザイン的に処理する部分と描写のバランス、そして色味も素晴らしい。特にオリジナルのカラーイラストは全体が暗いトーンの中に太陽の赤がひとつあるのが、とてもカッコいいと思います。惜しいと思ったのは構図です。バランスはいいのですが、何を見せたいのかが伝わりづらく、もったいないです。一つ一つの素材は大変魅力的で上手い方なので、それを効果的にイラストに落とし込む意識さえあればもっといいイラストレーターさんになれると思いました。

  • loundraw(イラストレーター、作家)

    デザイン的な感性がとても優れている方だと思います。男女がいるカラーイラストは、複数の表現方法が組み合わさっているのですが意図が伝わりやすく、要素や色味が一枚の絵としてまとまっており素晴らしいと思いました。デザインの上手い方に多い傾向なのですが、小物のパース等の物質的なことは、もう少し気を配るといいのかなと感じました。技術的な部分は先述のセンスと比較すると、努力で補うことができる部分でもあるので、意識して描いていくことでさらに魅力的な絵になると思います。全体の統一感も必要ですが、描き込みの熱量からキャラクターへの愛を感じる方ですので、キャラの持つ熱量や魅力を失わずに成長されることを楽しみにしています。

  • 黒崎泰隆(電撃の新文芸編集長)

    そのスタイリッシュな画風に、まず目を奪われました。カラーイラストにもかかわらず、黒やグレー、ブラウンをベースに落ち着いたトーンで仕上げたところに、こだわりを感じます。とくに血塗られたメイドが立っているイラストは、構図が巧みなうえ、空に浮かぶ赤い満月が効いていて、秀逸。モノクロイラストでも、画面構成に凝ろうとしているのが、よくわかります。ただ一部のイラストで、小物や背景を描き込みすぎたゆえか、どこに見る人の視線を導きたいのか、わかりづらい作品があったことは、やや残念でした。独特の空気感を作り出すセンスは抜群ですので、メリハリをつけることさえできるようになれば、より高いレベルへ上れると思います。

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