謎解きゲームとかが好きです。友達と一緒に遊ぶことはもっと好きです。

この度は素晴らしい賞に選出していただき、誠にありがとうございます。想定作品として選んだ『キノの旅』は、幼い頃から読み込んできた大好きな作品です。電撃大賞に応募するのは2度目で、昨年は最終選考で落選するという結果でした。その際に頂いた選評は大変参考になるもので、度々読み返しながら練習を繰り返しました。絵のことを第一に考えた半年間でした。それが結果として実り、大変嬉しく存じます。今回の受賞は自分の力だけでなく、選評を書いてくださった審査員の方々や、また、日頃から応援してくれる友人達のお陰です。お世話になった方々にお返しできるよう、この機会を無駄にせず、これからも精進してまいります。

• いとうのいぢ（イラストレーター、ゲーム原画家）

  キャラクターがとても可愛らしく華やかなイラストを描かれていて、ライトノベルでは強みになる力をお持ちの方だなと思いました。ぜひこれからもその強みを大切に研ぎ澄ませていって欲しいです。ただカラーのイラストが同系色でまとめられていてぼやっとした印象を感じたので、もっとキャラクターが際立つように配色を検討して頂いた方がより良い一枚になるかと思います。モノクロはカラーの情報がない分メリハリが効いていてキャラクターに一番に目がいくので、カラーも同じくらいメリハリが効くといいのではないかと。馴染ませるところと際立たせるところの区別ができれば、更にクオリティが上がると思います。

• abec（イラストレーター）

  『キノの旅』のカラーイラストの色味が美しく、すごく雰囲気のあるイラストだと思いました。塗りでこの方の考える『キノ』の儚さみたいなものが表現されているように感じられます。キャラクターも魅力的で、特にオリジナルモノクロイラストのツインテールの女の子は、今回最終選考に残った中で一番かわいいキャラクターだと思いました。世界観が作り込まれ表現されているのも高評価でした。モノクロでは、3点がそれぞれ違う描画を試していて挑戦的でよかったです。ただ線画表現が若干弱く感じました。カラーでは色使いの綺麗な方なので、モノクロでも武器ができればさらに上を目指せると思います。

• loundraw（イラストレーター、作家）

  オリジナルの女の子が振り返る一枚が印象的で、なにより女の子がかわいく描けるというのが魅力的だと思います。どの絵もキャラクターが生き生きとして、表情などから愛らしさが感じられるのが素晴らしいです。カラーイラストはどれも配色が魅力的な一方、例えば『キノの旅』の絵は背景の工場がしっかり描かれていた方が、キノが立つ場所を含めて絵により説得力が生まれると思います。キャラクターは十分に第一線で活躍できる画力と魅力をもっているので、次は背景にもっと意識を向けられると、キャラクターが「そこで」笑っているような実在感が強まり、全体にもっと魅力が出てくると思います。

• 黒崎泰隆（電撃の新文芸編集長）

  第27回に応募いただいたのを覚えていますが、一年間でしっかりと上達しているのが感じられて、嬉しいです。カラーイラストは、淡い色遣いが上品。一枚が静かな絵で、もう一枚が動きのある絵と描き分けていて、どちらもクオリティが高いです。モノクロイラストも、意図的にトーンを使わないものを盛り込んだりと、いろいろな引き出しを使って描こうとしているのがうかがえます。竜宮城のようなシチュエーションの絵で、少女のドレスにウロコ模様を描き込んだり、ディテールへのこだわりも素敵です。どの作品も、人物を前後に置くことで奥行きを作り出しているところも、巧みだと感心しました。是非このまま才能を伸ばしていってください。