幼い頃から絵が好きで、描くことはもちろんですが見ることも好きです。手描き感があるやわらかくあたたかみのあるものに惹かれます。

この度は素晴らしい賞を頂き、誠にありがとうございます。電撃大賞への応募は、５枚のバランスを試行錯誤しながらも作品に向き合う時間は楽しく、とても貴重な経験をさせて頂きました。今回の受賞を励みとし、今後も一層精進して参ります。本当にありがとうございました。

• いとうのいぢ（イラストレーター、ゲーム原画家）

  独自の世界観を持ち、動きのあるイラストが魅力的で線の強弱などから勢いを感じる迫力のある作品だと感じました。動きのあるイラストを描くのがきっとお好きなんだと思うのですが、静止画だとその強みが活かせないため一段見劣りしてしまう印象でした。動きのないイラストでは細部が注目されるため、キャラクターの造形やディティールにこだわると更に魅力的になると思います。ご自身の好きなお気持ちがクオリティに影響があるのは悪いことではなく、好きな系統の作品とご自身の作風が組み合わさったとき相乗効果で更に素敵なイラストになると思うので、様々な世界観を自分のものにしていって欲しいです。

• abec（イラストレーター）

  カラーで特徴的な色の処理がされている部分に、オリジナリティがあっていいと思いました。線の捉え方や処理の仕方も特徴的で、シルエットにも独自の捉え方がありますが、それが違和感なく見れるのがいいです。この方の絵で特に素晴らしいと思ったのがオリジナルのファンタジー世界を描いたモノクロです。独創性のあるデザイン、物体をシルエットで捉え、計算して違和感なく形を線として描き出しているのが素晴らしいです。ただ、銃を持った女の子の迷彩柄や硝煙の上がり方の表現が荒く見えてしまいました。ファンタジーの方では筆致の「味」として表現できているので、うまく自分の技術として習得できると、もっとよくなると思います。

• loundraw（イラストレーター、作家）

  「何をいいと思うか」のような感性という意味で今回最もクオリティが高いと思った方で、イメージしている表現したいもののレベルがとても高いと思いました。一方で迷彩服のしわなど細やかな部分に関してはまだ突き詰める余地があると感じます。そもそもの設計図は素晴らしいものがあるので、「美は細部に宿る」という言葉もあるように、細かなところを精度高く突き詰められればより魅力的な絵になると思います。ディテールや小さな世界観について触れましたが、決して世間一般で受け入れられる絵柄によせてほしいという意図はなく、ご自分の持つ優しさを感じるような世界観は崩さずに緻密さを追求されることを期待しています。

• 黒崎泰隆（電撃の新文芸編集長）

  カラーイラストの色遣いが独特で、とくに課題作『四畳半開拓日記』は、ブルーとオレンジだけで爽やかな雰囲気に仕上げているのが印象的です。オリジナル作品でも、グリーンに微妙な濃淡をつけることで神秘的な空気感を生み出しています。モノクロ作品は、キャラクターに動きが感じられ、表情も丁寧に描き込んでいるところは高評価です。ただコントラストが低く、なおかつ情報量が多いわりにメリハリをつけていないため、どこに焦点を当てているのか、曖昧になっていると感じました。画面構成、キャラクター造形などはしっかりと出来ていますので、あとは見せたいポイントを立たせるように注意を払っていただければ、クオリティも上がると思います。