ミミクリー・ガールズ
(※応募時『特攻野郎Lチーム』より改題)
著者 : ひたき
発売日 : 2022年7月8日
世界の命運を握るのは、11歳の美少女!?
(※ただし中身はオッサン)
世界の命運を握るのは、11歳の美少女!?
(※ただし中身はオッサン)
あらすじ
第三次世界大戦――人類はついに再生医療の境地へと至り、脳と脊髄を人工の体へ移し替えるバイオティック手術を開発。これにより、腕がもげようが内臓がミンチになろうが、脳と脊髄さえ無事であれば24時間後にはまた戦場へ舞い戻ることが可能となった。
大統領直轄部隊(ニューデルタフォース)所属、クリス・アームストロング大尉は、作戦中の不慮の事故により重傷を負ってしまう。だが、彼もまたバイオティック兵。新しいボディに着替えれば済むこと。そういつものように再生手術に臨むクリスであったが、術後どうも体の調子がおかしい。
鏡に映った自分を見るとそれは白い柔肌にさらさら金髪ロングヘアーの良く似合う――11歳の美少女であった。
受賞者プロフィール
焚き火が趣味でペンネームもそれにちなんでいます。過敏性腸症候群なのに自由にトイレにいけない職種で働いています。作家業だけで食べていけるようになるか、先に自分の弁が決壊してクソ漏らし野郎になるのか、今後の頑張りにかかっています。
受賞者コメント
中学で初めて読んだライトノベルが電撃文庫で、今でも一番好きなレーベルです。そこで受賞出来た事は大変うれしく思います。自分が好きなものでなければ読んだ人も好きになってくれない。との想いで好きなものを詰め込んで書きました。読んだ人を楽しい気分にさせられるようこれからも頑張って参ります。
選考委員選評
※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。
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三雲岳斗(作家)
兵士のアイデンティティという突き詰めると重いテーマを扱っていながら、ノリと勢い任せの怒濤の展開が続き、それでいて構成はしっかりしているという評価の難しい作品でした。小説というよりもB級映画やコントを見ているようで個人的にはノりきれなかったのですが、媒体によっては嵌まる可能性がありそう。ある意味、レーベルの可能性を広げてくれる作品と言えそうです。
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三上 延(作家)
美少女のガワをかぶった中高年男性、という主人公たちのキャラクターをどう見るかでかなり評価の分かれた作品でした。タイトルも含めて登場する海外ドラマ・洋画ネタの古さと展開の荒っぽさは多少気になりましたが、テンポの良さと勢いでぐいぐい読ませます。1980年代のアクション映画を思わせるノリで、個人的に非常に楽しめる作品でした。
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吉野弘幸(アニメーション脚本家)
とにかく映像化しやすそうだなぁというのが最初の感想です。ミリタリーと美少女は鉄板ですし、中身がオッサンという捻りも面白く、美少女が武器を振り回すことにも説得力を与えています。ただ、改めてアニメ屋脳で商品として考えたとき、全員が偽物でヒロインがいないという事実に気づき、ありゃりゃ、と(笑)。一人でいいので、読者が安心して好きになれる、中身まで本物の美少女が欲しかったです。
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小原信治(放送作家・脚本家)
特殊部隊員が少女の体に憑依してのミリタリーアクション。表層的なコメディに終始すると思いきや、中盤以降に挿入される戦場での子供に対する非道。自爆テロの子供を撃ったトラウマを抱える兵士のエピソードに設定の深さを感じました。だからこそ「戦争と子供」というテーマが主人公の身に及んでいないのが勿体なく。少女の自分に銃を向ける敵兵。相手の痛みが分かる主人公の選択というアンビバレントな感情が描けていれば。
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荒木人美(電撃文庫編集長)
見た目は可愛い女の子、でも中身は全員屈強な男性。銃火器を格好よく使いこなして無双!という、設定がとてもキャッチーな作品で、冒頭から引き込まれました。基本のノリはコメディであるものの、登場人物たちの過去や友情でホロリとさせる部分もあり。読者の感情を揺さぶるポイントをうまく押さえられていたと思います。武器の説明がやや多かった印象なので、バランスを取っていただけるといいなと思いました。
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遠藤充香(メディアワークス文庫編集長)
見た目は可憐な少女が、任務のため困難に立ち向かう数々のシーンにぐっときました。映像映えしそうな痛快で爽快な物語です。外見は少女で中身は特殊部隊の中年男性という設定ならではの台詞回し、軽妙で疾走感あふれるシーン展開に一気読み。卓抜したキャラ造形のほかあらゆる要素が最大限に魅力的に描き出され、シリーズ展開も楽しみな、文句なしの受賞となりました。