第28回電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

選考委員奨励賞受賞作

『アマルガム・ハウンド』

著/駒居未鳥

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電撃文庫

アマルガム・ハウンド

著者   : 駒居未鳥
発売日  : 2022年春以降予定

少女は猟犬。主人を守り敵を討つ。
捜査官と兵器の少女が凶悪犯罪に挑む!!

少女は猟犬。主人を守り敵を討つ。
捜査官と兵器の少女が凶悪犯罪に挑む!!

あらすじ

自律型魔導兵器《オートマトン・アーツ》アマルガム。大陸戦争を支えた、純然たる兵器。捜査官の青年テオが出会った少女ハウンドは、完璧に人の姿を模したアマルガムだった。
 戦争終結後に逃亡した一部のアマルガムを見つけるため、ハウンドはテオのパートナーとして広域犯罪対策課に所属することに。しかし、ハウンドは人の姿こそしているが人の心を理解できずテオを戸惑わせる。
 彼女は猟犬として、稚い少女の顔でテオに尋ねる。
「私、あなたの役に立ちましたか」
 猟犬と主人となった二人は行動を共にし、やがて国を揺るがすテロリストとの戦いに身を投じていく……。

受賞者プロフィール

福岡県出身。平成生まれ。11歳の頃から小説家になるのが夢でした。今はウィッシュリスト消化の一環で、バーチャル美少女の肉体で配信活動しています。猫と甘い物が好き。低気圧とアルコールが嫌い。生きるのが苦手な中、善良な方々とフィクションとロックに救われました。私の作品が誰かの助けになりますように。

受賞者コメント

この度は、名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。思えば電撃大賞最終候補に残るのはこれで3年連続の3度目。出版してはと提案をいただきましたが、この苦しい時代、受賞の冠もなく私の作品が売れる自信はありませんでした。昨年は悔しさに煮えて人生で一番苦しい夜を過ごしましたが、今年は意地と根性で冠をいただく形になり、喜びもひとしおです。商業作家としての第一歩を踏み出せる幸せを噛み締めて、良い作品を送り出すことができるよう、努力を尽くします。選考に関わった全ての方に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

  • 三雲岳斗(作家)

    深く研究して書かれた作者の努力が伝わる作品で、練り上げられた緻密な構成が見事でした。反面、キャラの造形や言動が最大公約数的に手堅くまとまってしまい、瑞々しさが失われてしまった印象があります。ほかの作家には書けない、独自の魅力を備えたキャラクターが描かれていれば、もっと高い評価が望めただけに、とても惜しいと感じました。次回はぜひ、ストーリー構成と同じくらいの熱量をキャラにも注いでいただければ。

  • 三上 延(作家)

    前々回も最終選考に残った作品の改稿で、高い水準に達していました。人ならざる者と人間の刑事のバディものとして、完成度はさらに上がりました。キャラクターの収まりがよくなりすぎた感はありますが、アマルガムの設定が分かりやすくキャッチーなものに変更された点は好印象です。この方の応募作に毎回高い評価を付けてきた審査員として、ようやく賞を差し上げられることに安堵しています。

  • 吉野弘幸(アニメーション脚本家)

    第26回の最終選考作の改稿版であり、最大の変更点として主人公のパートナーの性別を少年から少女とし、電撃作品としてはより広く受け容れられる方向性を獲得できたと思います。が、その一方で作者の指向性が薄れたというか……そもそもこれは、少年アンドロイドと主人公のオジサンの関係性が作品にとっても作者にとっても一番の萌えポイントだったのでは? と感じてしまい、個人的には少し残念でした。

  • 小原信治(放送作家・脚本家)

    ヒューマノイド型の兵器とその兵器に家族を奪われた人間のバディもの。互いに理解を深めていく過程も見所ですが、主人公側にもっと強い拒否感があってもと思いました。親子のような年齢差にするならば、死んだ子供と重なる描写があっても心揺さぶられたかと。人間扱いに戸惑う兵器の描写には面白味があったし、アクションシーンも生彩を放っていましたが、新鮮な驚き、発見や感動がなかったのが奨励賞以上に押せなかった理由です。

  • 荒木人美(電撃文庫編集長)

    兵器である少女と、娘を失った刑事が事件を解決するバディ小説。過酷な運命に立ち向かう、強くて美しい少女が魅力的に描かれていました。世界観がしっかり構築されたSFで、ストーリーも緻密に練られており、事件の面白さでも読ませるお話でした。兵器の少女に対する各キャラの心情ややりとりを、もう少し踏み込んだところまで描いていただけたら、さらに物語の魅力があがったのではと感じました。

  • 遠藤充香(メディアワークス文庫編集長)

    緻密に練られた世界観とストーリー展開、文章力の高さ、キャラクターの魅力、すべてにおいて総合的に高い評価となりました。人の心が読めない戦闘兵器アマルガムの少女と、アマルガムを憎む過去を持つ青年のそれぞれのドラマにもカタルシスがあり感動を誘います。この隙のなさが魅力ではありますが、読み手の感情をゆさぶる過剰さがあえて抑えられている印象だったのが唯一惜しかった点でした。

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