四国の山奥在住の兼業イラストレーターです。

この度は選考委員奨励賞をいただき、誠にありがとうございます。どの作品も「一枚絵からストーリーが伝わってくるか」と「自分の好きな要素（主にフリル）」を意識して制作しました。「キラプリおじさんと幼女先輩」を想定作品とした二点については、過去に某女児向けゲームに百円玉をつぎ込んでいた事もあり、ゲームあるある要素を詰め込んでみたりと特に描いてて楽しかったです。これからも頑張ります。

• いとうのいぢ（イラストレーター、ゲーム原画家）

  キャラクターがとても可愛らしく、配色センスも素敵で、ご自身の好きなものを一枚のイラストに入れ込むのが上手な方だと思いました。ただ全体的にすごく「もったいないな」と感じる方だなとも思ってしまいました。例えば『キラプリおじさんと幼女先輩』のカラーイラストは手前と奥とのキャラクターの見せ方が同列に感じられ、塗りの処理などで差をつけた方が、よりキャラクターが映えると感じます。題材に意図を込めていることは感じられるので、「どうすればその意図が伝わるか」という部分に意識を向け、情報の処理の仕方やメリハリなどで上手く表現できれば、今よりさらに魅力的なイラストになると思いました。

• abec（イラストレーター）

  「かわいい女の子を描きたい！」という気持ちが伝わってくるキャラクターたちは、とても魅力に溢れていて素晴らしいと思います。特に『キラプリおじさんと幼女先輩』のカラーイラストに描かれた金髪の女の子からは、思わず目を留めてしまうほどの魅力を感じました。塗りも気持ちよく、小物の描き込みも目をみはるものがあるのですが、その情報量をまだ整理しきれていない部分が少し気になりました。後からぼかし処理などで情報量を減らそうとするのではなく、構図の段階で情報量のコントロールをする「引き算」の情報処理の仕方を身につければ、一層魅力的なイラストになると思います。そうして他人との差別化要素を見つけられれば、頭ひとつ抜きん出たイラストレーターになれると思います！

• loundraw（イラストレーター、作家）

  「こういうキャラクターが好き！」という意識が現れた、実在感のある女の子がとても魅力的でした。特にガチャガチャをしている女の子のモノクロイラストは、実際に描かれた以上の情景が表現できていると感じます。一方で画面の情報整理の面は少し惜しいと思いました。例えばオリジナルのカラーイラストについて、たくさんのモノを描ききったのは素晴らしい反面、その絵の中で見せたい情報の優先順位がわかりづらく、少し見づらい画面になってしまっているのがもったいないと思います。キャラクターに存在感が感じられるという技術以前の大きな長所があるので、情報を適切に配置する構成面が洗練されると、さらに長所が映えてくると思いました。

• 黒崎泰隆（電撃メディアワークス編集部 部長）

  カラーは今時の明るく華やかな色使いで、ラノベの王道とも言えるイラストに仕上がっています。女の子を可愛く描こうとする意識が出ていて、なおかつ背景や小道具まで緻密に描写しているところが好印象です。モノクロも表情やポージングが魅力的で、キャラの心情がしっかり伝わってくる点が評価できます。ただ、背景や効果の描き込みが多く雑然と見える絵もありました。メリハリを留意すれば、もっと進化できると信じています！