第29回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

金賞受賞作

『テレポーターは歩く』(オリジナルコミック作品)

橋元夏樹

ストーリー

テレポート能力がある以外はごく普通の女子高生・五十鈴周(あまね)。その日もいつものようにテレポートを使って学校に行くと、見知らぬ生徒から親しげに話しかけられる。その生徒・五十嵐単(ひとえ)は、周の親友ということだが、周にはまったく覚えがなく……?

受賞者プロフィール

昔から絵を描いていましたが、これまでは趣味の範囲に収まるほどでした。1年くらい前から本格的に漫画を描き始め今に至ります。

受賞者コメント

理想の絵と現実の技術、自らのズレとの戦いでしたが、このように金賞という形で結果に残り、大変嬉しく思います。今まで描いてきたことが無駄にならなくてよかったと思いました。これからもこの結果を糧に頑張りたいと思います。この度はご選出いただき誠にありがとうございました。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    爽やかな読後感を持たせる作品で最後まで楽しく読めました。SF展開のあるストーリーの中に、しっかり作り込んだキャラクターを配置して、1つの読み切り作品を完成できているのはかなりすごいことだと思います。一方で、画面作りの面では、まだまだ一段も二段もステップアップしてほしいです。女の子はかわいく描けているけど、大事なシーンをより濃く、よりわかりやすく、より感情を伝えるために、もっともっとできたと思います。作品を描き続けることで向上できると思うので、今後に期待しています。

  • いみぎむる(漫画家)

    ストーリーがすばらしく、構成もうまいので「この先の展開はどうなるんだ? 不幸な結末だったらどうしよう!」と思いながら、すっかり作品世界に浸って一気に読み進めてしまいました(爽やかな結末で安心しました)。おしゃれな演出や、見せ方もとても優れていました。絵もきれいで見やすくて〇。「テレポート」という題材もわくわくできて良かったです。欲を言えばもう少し盛り上がりどころ(演出含め)が意識されていると、もっともっと良かったかなと思いました。とはいえ文句なく金賞レベルだったと思います。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    脚本家の視点から見ると、今回ナンバー1の作品でした。物語が面白いです。興味を惹かれる入口、でも、その興味は途中で脇にどいて、でも、最後にきちんとパズルのピースのようにはまっていく。主人公の最後の選択もとても好きです。覚悟と苦味と清々しさと。物語には何も言うことありません。商業作品として考えると、キャラクターにもうちょっと個性があればと思ったくらいでしょうか。次回作、楽しみにしています!

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    大変良い作品で個人的にはここ数年で一番良かった。機微の描き方や話の練り込みは十分で、ネーム力もある。今後は伏線の張り方とコマで韻を踏むような繰り返しをきちんと描ければ文句のない作家になれるだろう。若いうちは詰め込みすぎてしまうがそういうことなく大変よかった。あなたの未来に幸あれ、前途に祝福あれ。

  • 飯島直樹(株式会社KADOKAWA コミック第3統括部 第8編集部 コンテンツプロデューサー)

    ストーリーがしっかり練られ、重要なセリフを読者にわかりやすいコマにするなどして工夫して伝えており、漫画としての質が全体的に高く受賞に値する作品かなと思いました。ただし作品のオリジナリティや作家性といった部分ではまだまだ伸ばす余地があるかと思いますので、自分自身の視野を拡げるために漫画以外にも様々な映像作品や芸術作品などを見て触れて考えていってほしいと思います。次回作での成長を楽しみにしています。

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