第29回電撃大賞 入選作品
電撃コミック大賞部門

金賞受賞作

『八千代千代美は無軌道すぎる』(オリジナルコミック作品)

ののもとむむむ

ストーリー

「自由な男に育て」という父の方針により1人アマゾンでサバイバルをさせられた和久勝は、いっそ「ルールに縛られて生きる」と心に決めた。そんな彼の隣の席に座る八千代千代美は、ルール無用の無軌道さが目立つ女の子で、勝のルールからはいつも逸脱していた。しかしながら、千代美にも秘密があるようで──? その無軌道さに立ち向かえ! フォローザルールコメディ、判定開始!

受賞者プロフィール

「かわいさの中に毒を込める」をモットーに、仄暗くも柔らかい作品を制作しています。オリジナルでの同人活動から楽曲制作までマルチに活動中です。好きな食べ物はカレーです。

受賞者コメント

2~3年前まで「他人に向けて漫画を描く」という当たり前のことにずっと懐疑的だった偏屈な私が、金賞という輝かしい賞を頂戴することになったことにいまだに驚きを隠せません。この賞は私の努力だけでなく、何も知らない私を温かく見守ってくださった方々のおかげです。本当にありがとうございました。今後も「答え」の中に「問い」をほんの少しだけ混ぜた漫画を描きたいです。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのものです。

  • 高河ゆん(漫画家)

    個性的でありながらかわいらしい絵柄で、その絵柄で描くのにピッタリな少し不思議なコメディ作品に仕上がっていると思います。構図やセリフ回しに少しクセはありますが、自分の武器をよく活かせていると思うので、細かいことはあまり気にせずに、個性を前面に出して熱量を最大限入れ込んだ作品をたくさん描いて読者を楽しませてほしいです。その先で、もっと作家としてステップアップしたいという思いが出てきた時に、自分のやり方を少し変えてみるのもよいかと思います。

  • いみぎむる(漫画家)

    独特な絵柄のコメディ作品でしたが、個人的にすごく好きです。ヒロインの女の子の性格と外見のデザインがよくマッチしているのも良いですし、シーンごとの構図も凝っていて、読者を飽きさせない工夫ができていると感じました。ビジュアル面での質の高さは今回の選考作品の中でも抜群だったと思います。いや~このシュールな作風、最高です。作画にとてもパワーがあるのも見逃せません。個人的に最後のぶった切るような終わらせ方もめちゃくちゃ好みです。

  • 大河内一楼(アニメーション脚本家)

    個性! この作品を読んでみての第一印象でした。絵もストーリーもキャラクターも、引きこまれるオリジナルな魅力にあふれていて、とても楽しかったです。ここはこうした方が……と思っても、いやこれはこの作品の個性かもなあと考え直したり。今後、できればこの個性が削がれることなく、多くの人の目に触れてほしいと思いました。ののもとさんならではの、ののものとさんのオリジナルを、今後も楽しみにしています。

  • 芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

    個性的な作風で自分の世界観を確立しているように感じた。この手の作家は依頼されて仕事するのが苦手で序盤悩みやすい。気が合う編集を見つけたら離さないように。かなり描いてないとこうはできないクオリティで話の組み方には天性の才能を感じる。ホラーとその他の境界線をついていけばより成功を狙うこともできる逸材である。下手なアドバイスで今の完成度を壊すのも怖いのでこのまま頑張れという言葉を送りたい。

  • 飯島直樹(株式会社KADOKAWA コミック第3統括部 第8編集部 コンテンツプロデューサー)

    キャラクターの個性と作家性が他の作品と比べても圧倒的かなと思いました。またストーリーもぶっ飛んでおり、最終的にどこに着地するのかを読者に想像させない点も良い方に作用していると思いました。今後はののもとさんの作家性やオリジナリティを読者の読みたい物とうまくマッチさせながら自分の世界に引き込んでいくことをできるようにしていけば良い結果が生み出せるのではないかと思います。今後の精進に期待しています!

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