第30回 電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

金賞受賞作

『歪み絶ちの殺人奴隷』

著/那西崇那

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電撃文庫

歪み絶ちの殺人奴隷

著者   : 那西崇那
発売日  : 2024年3月8日予定

あらすじ

歪理物。歪んだ理を持つ超常の物体。現代社会に歪理物が影響を及ぼすことを防ぐため、人知れず歪理物の保護や破壊をする組織に、一人の青年が所属していた。
青年の名は伽羅森 迅。人を破滅させるはずの『魔剣』に「生きたい」と願った彼は、「人として」強すぎる力を得た。生きながら破滅の道を歩まされるという運命とともに……。彼の運命の歪みに巻き込まれ、『本』に書かれた行動しかできなくなった少女、アーカイブとともに、少年は任務をこなしていく。自らの運命を取り戻すよりも、アーカイブの呪いを解くために。
「仮にお前を救えない運命だとしても、俺は足掻き続けてやる」
「……その言葉に返事をするとは決められていません」
『無題』と名付けられた文字を食べる本を破壊する任務に赴いたことで、彼らの運命は急速に動き出す。
これは呪われた運命に縛られた二人が、自らの人生を切り開いていく物語。

受賞者プロフィール

出生記録なし

受賞者コメント

数多の星の巡りを受けて、この星は金色の輝きを得ることができました。星影がせめて6等星の煌めきを持てるよう、人事を尽くしたうえで流星へと祈ります。

選考委員選評

  • 三雲岳斗(作家)

    設定面に特筆するような斬新な部分はないものの、全体的な完成度の高さとキャラクターの魅力が高く評価された作品です。こなれたストーリー展開や文章力には新人らしからぬ安定感があり、安心して読むことが出来ました。一方で破綻なくまとまりすぎていて、展開にやや拙速な印象と予定調和な部分があるのが残念。緩急や溜めを使ってあと少しキャラクターの心情が深く描けていれば、より魅力的な作品になると思います。

  • 三上 延(作家)

    ライトノベルとしては王道の異能バトルものですが、一周回って鮮烈な印象がありました。観念的なガジェットには取っつきにくい部分があるものの、駆け引きを読者に理解させるツボはきちんと押さえられています。主人公とヒロインたちだけではなく、対峙する敵側のキャラクターの描写も丁寧で、エンターテインメントとしての完成度が非常に高いです。素直に続きが読みたい作品でした。

  • 吉野弘幸(アニメーション脚本家)

    体言止めを多用した緊張感のある特殊能力のバトル描写など、個人的にかなり好みで推した作品の一つです。ただ、特殊能力戦ではテンポ良く平易にルールを説明しなければなりませんが、描写が分かりにくいことも多く、少し残念でした。また、紙幅の問題もあるのでしょうが、キャラを好きになれる緩めのシーンが少なく、もう一声、彼らとその関係値が好きになれるような、ホッとできる場面が欲しかったです。

  • 小原信治(放送作家・脚本家)

    異世界バトルアクションでありながら登場人物の高校生たちが抱える生き辛さに切実なリアリティがあるおかげでこういった世界観を敬遠しがちな読者層にも届く作品に仕上がっていると思いました。バトルシーンが小説でしか表現し得ない観念的なものである部分にも独創性を感じます。コミックでもアニメでもなく小説として味わって欲しい作品です。

  • 阿南浩志(電撃文庫編集長)

    ライトノベルの王道ジャンルのひとつともいえる異能バトルものは、一時期よりは減ったとはいえ例年いくつもの作品が2次以降の選考に残ります。それらは良い意味でも悪い意味でも粗削りなテンションとストーリーで「惜しさ」を感じさせることが多いのですが、本作は新人離れした完成度・安定感を持っています。またそれでいて能力・設定・キャラも外連味たっぷりで、作品世界観独特のロジックが備わったバトル描写も魅力的。なにより主人公とヒロインを取り巻くストーリーが秀逸で、悲劇的な運命をたどりつつも選びうる最善に結び付けた着地点も含めて、キャラの関係性にもっとも尊さを感じた作品です。

  • 遠藤充香(メディアワークス文庫編集長)

    禍をもたらす「歪理物」なる超常物の仕組みや全体像を掴むのにやや苦戦しましたが、高校生でありながら超常物を破壊する「歪み絶ち」として任務を遂行する主人公・迅の活躍に比例するように物語に没入していました。運命を引き受け、痛快に歪みを斬る主人公の造形がとにかくかっこよく、もっと先を読みたいと思わせてくれる力のある物語でした。

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