第30回 電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

選考委員奨励賞受賞作

『フィギュアのお医者さん』

著/奈々宮熊財

電撃文庫

美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか

(※応募時『フィギュアのお医者さん』より改題)

著者   : 芝宮青十(※応募時「奈々宮熊財」より改名)
発売日  : 2024年6月7日

《エロス大魔神》と偽る少年と、変人少女たちとの造形ラブコメディ!

《エロス大魔神》と偽る少年と、変人少女たちとの造形ラブコメディ!

あらすじ

「私の子供を作ってよ」
 パンツ姿でそう呼びかけるのは、医者の卵で小説家の今上月子。
「いい加減服を着ろよ……違う子作りをしたくなっちまうぞ!?」
《エロス大魔神》と自称することで周囲と距離を取っていた黒松治。そんな彼の本当の姿は、美少女フィギュア作りの達人だった!? 
 月子が彼に依頼したのは『青春ができない病』を治すため、自身が書いた小説のキャラをフィギュア化してほしいというもので……。
 ギャルだけどオタ絵師な幼馴染かぐやに、塗装LOVEすぎるギリシャ美少女セレーネも騒動に巻き込まれ!
 変人な彼らの等身大〈フルスケール〉な青春ラブコメ、ここに開幕!

受賞者プロフィール

東京都出身。青春時代に嗜んでいた二次創作活動が高じて、オリジナルのキャラクターやお話を世に出したいという夢を抱くようになる。趣味はJリーグ観戦、ゲーム、アニメや映画鑑賞など。近年はマジックとフラリッシュに熱中しています。
物語に触れるときは、キャラを好きになりたいという思いが一番強いタイプです。

受賞者コメント

この度は身に余る素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。選考に関わられた全ての皆様に、心より御礼申し上げます。
初めて賞に応募したのは電撃大賞でした。あれから様々な賞への応募を経て、こうして電撃大賞にて冠を賜り、大変嬉しく思うと同時に、不思議なご縁を感じております。
今後作家を名乗るに値する人間になれるのかどうか不安な気持ちも大きいのですが、幸運にも日本一のマジシャンの方にハンドパワーを授けていただけたことを心の支えにして、これからもこの手で、読者の皆様に好きになっていただけるキャラクターを生み出し、楽しんでいただける物語を紡いでいけるよう精進してまいります。

選考委員選評

  • 三雲岳斗(作家)

    主人公がフィギュア製作者という設定には目新しさがあり、ヒロインの悩みもなかなか斬新で個人的には面白いと感じました。ただ、現状では学園ラブコメとクリエイター要素が上手くなじんでおらず、作品としてやや中途半端な印象を受けます。一方でキャラクターの好感度は非常に高く、ストレスなく読み進めることが出来たのは本作の美点だと思います。作中の要素を上手く整理して、主人公やヒロインをより魅力的に描ければ、さらに満足度の高い作品になるのではないでしょうか。

  • 三上 延(作家)

    フィギュアをテーマに据え、主人公を造型師にした設定は素晴らしかったのですが、キャラクターに属性を詰めこみすぎて物語が混乱気味。特に肝心のメインヒロインのキャラクターが分かりにくくなっています。「フィギュアを作る少年」と「フィギュアを必要とする少女」のシンプルな物語に要素を絞りこんでいれば、大賞をも狙えた作品だったと思います。

  • 吉野弘幸(アニメーション脚本家)

    よくできていて文章も上手いけれども、全体にあっさり目の塩ラーメンという感じで、美味しいのだけれども、それほどこってりと食べた感じがしないのが、少々残念でした。もう一声、強めにドラマの動きがあっても良かったのかもと思います。またキャラクターたちの抱える悩みが、才能があるが故の特殊なのものだったのも、面白く思える一方で、一般的性を欠き共感しにくく、ドラマが遠く感じられてしまった原因かもしれません。

  • 小原信治(放送作家・脚本家)

    商業小説としての完成度は高く評価したいと思います。男性にとって都合の良い女性キャラクターばかりが登場するハーレム展開。フィギュアやラノベの作り手と舞台裏での生みの苦しみを描いていることから作者自身もこうした既存のラブコメに対する批評性でこの物語を書いたのではないかと想像したのですが、それを裏付けるスパイスのような一文があればより深い味わいが得られたのではないかと思いました。

  • 阿南浩志(電撃文庫編集長)

    メインヒロインの事情に向き合うラブコメ軸、フィギュア造形を中心としたクリエイターものとしての軸、二つの要素がしっかりと噛み合って個性的な青春作品に仕上がっています。なにより読んでいてニヤニヤできる男女の掛け合いが上手。彼らのこそばゆい関係性を応援しつつ、恋愛感情の行方が気になって続きが読みたいと思わせてくれました。

  • 遠藤充香(メディアワークス文庫編集長)

    フィギュアを扱った青春劇という抜群の独創性が光っていました。フィギュア作りに情熱を傾ける主人公と、彼のもとに集まる仲間それぞれの創作愛とひたむきさが物語の隅々まで描かれ、そのいじらしさに思わず声援を飛ばしたくなるような。愛が人や世界を変えていくと感じることのできた小説でした。

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