第31回電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

大賞受賞作

『妖精の物理学 ―PHysics PHenomenon PHantom―』

著/電磁幽体

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電撃文庫

妖精の物理学 ―PHysics PHenomenon PHantom―

著者   : 電磁幽体
発売日  : 2025年5月10日

あらすじ

「たった今、世界の法則を再定義しよう」
2032年に提唱された前代未聞の物理学理論により、世界の在り方は大きく変わった。特定の物理現象が少女の姿で具現化した存在――『現象妖精』(ルビ:フェアリー)は、人類に多大なる恩恵と、未曽有の大災害をもたらした。
七年前、『現象妖精災害』(ルビ:フェアリーハザード)により一度崩壊し――復興した街・神戸。そこに暮らす少年・カナエは平穏な日々を過ごしていた――はずだった。あの日、助けを求める彼女の声を聴くまでは。
「1500万もの人間を、この手で一度に、――殺しました」
世界の秘密と、犯した罪。少年と妖精の逃避行が今、始まる。

受賞者プロフィール

イラスト、ソシャゲ、Vtuber好きの平凡な物書きです。受賞したので作業環境を整えました、スピーカーフォンって便利ですね。
最近は花譜ちゃんとヰ世界情緒をリピートしています。

受賞者コメント

小説家としての第一歩目に大賞という栄誉ある賞をいただき、大変身が引き締まる思いです。ふとなんでもない隙間時間に、ひまを持て余した退屈なひとときに、学校や職場や自宅で窮屈なときに羽休めができる、息継ぎのような物語を書きたいです。

※上記は2024年12月時点で電磁幽体様ご本人からいただいた文言になります。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

  • 阿南浩志(電撃文庫編集長)

    電撃文庫的異能バトルの遺伝子というものがあるとすれば、本作はその正当後継者と呼べる内容だと感じています。
    あらゆる物理法則の在り方を「妖精の力」と再定義した独創的な設定。妖精の暴走によって重力反転した「逆さまの街・神戸」という眩暈のするような舞台。何気ない日常を送っていた少年が、救いを求める妖精の少女と出会うことによって生まれる壮大な逃避行。絶体絶命な状況下にあっても折れない主人公の心意気。シリアス一辺倒ではなく、絶妙な塩梅で配置されたコミカルで愛らしい会話劇。原稿を読みながら「こういうの読みたかったぜ!」と何度も喝采を送りました。また本作の異能設定の根源となるのは「再定義された物理現象」ですが、サイエンスに対する解釈も要点は抑えながらも頭でっかちにはなりすぎず、良い意味で勢いとアクション重視で爽快感のあるエンタテイメントに昇華させている点も素晴らしいです。

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