

第31回 電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門
金賞受賞作
『君の電波にノイズはいらない』

孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い
(※応募時『君の電波にノイズはいらない』より改題)
著者 : 神宮寺文鷹
発売日 : 2025年6月10日
あらすじ
「私、世界を救わないといけないから」
「それは……悪いな。手短にするから、世界を救う片手間に聞いてくれ」
”精神界”の”救世者”こと、中二病な電波美少女、貴家雲雀。『普通』を目指す無感動系高校生、楠木将臣。
交わるはずがなかったふたりは……将臣の嘘告白によって恋人に!?
「なら、この私の〝ガーディアン〟になってもらうから。光栄に思ってね?」
ふたりで歩いて帰る放課後に、ファミレスデート。罰ゲームから始まった関係だけども、意外に普通な雲雀の可愛さに次第に真剣になっていく将臣。でも、彼女のことを知るたびに、その妄想話には『根拠』があると分かって――。
「困ったことに、私の“世界”は医学的にも夢や幻の類だと断定されているわ。――ねえ、あなたはどう思う?」
嘘が本当になっていく!?奇人な彼女と奇特な彼の、電波系ラブコメディ開幕!
受賞者プロフィール
ラノベに登場する大半のヒロインが年下となった今もなお、クーデレをこよなく愛する。ちょっと常軌を逸している。
受賞に浮かれた勢いで自作を振り返ると、これまで書いた作品のほぼ全てにクーデレキャラが登場していて愕然とする。
ちょっと常軌を逸している。
受賞者コメント
この度は金賞という栄誉に与り、誠に光栄の極みです。選考に携わっていただいた全ての皆さまに心からの感謝を。
……そりゃもう憧れも憧れの賞ですし、投稿してもいないくせに僭越ながら受賞者コメントを(勝手に)考えたことさえありますよ。
そしていざ本当に書いてと言われると頭真っ白ですよ。現実って妄想より現実味ないんですね?なので実はまだ疑っています。
きっとこの後「ではこの賞を授与するための授与手数料を指定の口座に振り込め」とか言われるんでしょう? ええ、ええ、払ってやりますよ。出世払いでね!
選考委員選評
※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。
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阿南浩志(電撃文庫編集長)
「世界を救うのに忙しい」と嘯くちょっとイタい同級生、彼女の語る中二病的設定がもしも本当だったら……。そんなネタで始まる本作ですが、このクール系美少女の雲雀がとにかく可愛いです。一見近寄りがたいオーラを発しながらも、実は素直で健気で頑張り屋さんでさみしがり屋。誰にも境遇を理解してもらおうとせず孤高を貫いていたヒロインが、主人公の嘘告白から始まった恋人関係に徐々にほだされていく描写が、とてもいじらしいです。そしてラブコメであると同時に世界を救うお話でもあり、あくまでも傍観者でしかなかった無感動系の主人公がヒロインを救うために大きな犠牲を払う、という展開も熱く描けています。ラブコメとして読むかあるいはセカイ系として読むかは意見が分かれるところかもしれませんが、とにかく雲雀が可愛いということには太鼓判を押します!