第31回電撃小説大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

メディアワークス文庫賞受賞作

『タロットループの夏』

著/姉崎あきか

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メディアワークス文庫

夏空と永遠の先で、君と恋の続きを

(※応募時『タロットループの夏』より改題)

著者   : 姉崎あきか
発売日  : 2025年4月25日

あらすじ

旅館を経営する叔父の手伝いで、女子大生三人組のお客様を迎えに行く主人公・渚沙。普段通りの日常に、渚沙は既視感を覚えた。
同じ八月三十日を繰り返している――そして客の一人・藤壺ひまりもまた、同じ時間の檻に閉じ込められていたことを知る。
ループする時間の中で縮まっていく二人の距離。
しかしループ中の出来事は持ち越せず、いつか「明日」を迎えたとき、その思い出は失われてしまう。
ひまりはなぜか、そのことを知っていた。
――それでもかまわないと、ふたりは未来のない恋をした。

受賞者プロフィール

歌舞伎町生まれ、東京都在住。
二匹のシーズー犬と暮らしています。

受賞者コメント

四十度の熱がありました。はじめは汗があまり出ず、おぞましいほどの寒気と体の痛みに耐えていました。
頭のなかではなぜか一平ちゃんのCMソングがぐるぐると鳴り響き、幻影のマヨビームにうなされていました。
作品を投稿したとき、新型コロナウイルスに感染していたんです。
高熱とともに送り出した小説。それがまさかこんなに大きな賞をいただけることになるなんて、あのときは考えもしませんでした――というより、何かを考える余裕もなかった!
これからも一作、一作、あの日に負けない“熱量”で作品を紡いでいけたらと思います。

選考委員選評

※本選評は応募時の原稿に対してのもので、刊行されたものとは異なります。

  • 遠藤充香(メディアワークス文庫編集長)

    同じ一日をループし続ける少女・ひまりと、そんな彼女に恋をした浪人生・渚沙の恋。やがて彼女を忘れてしまう渚沙が、彼女の世界に居れるのはたった二十二日、という時限的な要素が効果的にあしらわれ切なさが加速していく展開とあいまって、没入感のある完成度の高い王道ラブストーリーになっていました。人生のきらめきや恋の尊さを物語随所に散りばめられた感動作として、多くの読者の方々に愛される予感でいっぱいです。

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