第32回電撃大賞 入選作品
電撃小説大賞部門

金賞受賞作

さよならアイリスウィッチ

著/森上サナオ

あらすじ

「彼女が空から落ちてきたあの夏の日を、わたしははっきりと憶えています」

 魔女(アイリスウィッチ)――浮遊鉱石アイリスリットを操り、空を駆ける者。
 二十年前の災厄により大地は地上から引き剥がされ、数多の浮遊島と化した。
 暴走した無人兵器群『オルク』は人々を浮遊島に閉じ込め、世界は分断された。
 そんな世界を、魔女はかろうじて繋ぎ止めている。

 失踪した母を探す魔女の少女アセビは、不時着した浮遊島でオルクの少女ピエリスと出会う。
 ピエリスはアセビを島に閉じ込め、奇妙な共同生活が始まる。
 やがて二人の間は、特別な感情が育まれていく。
 ――しかし、

「さよなら、アセビ」
「またね、ピエリス」

 これは、二人の魔女の別れと出会いを繋ぐ、ひと夏の物語。

受賞者プロフィール

山梨県出身。信州大学で空を眺めたりサワガニを捕まえるなどして四年間を過ごす。就活が嫌で山小屋に逃亡するも、山小屋生活が楽しすぎて執筆が全く捗らず泣く泣く下山。以来、ファミレスの片隅に居を構え執筆を続ける。旅とお酒とポカンとするのが好き。

受賞者コメント

小学生のとき、本屋で雑誌『電撃ゲームキューブ』と間違えて『電撃プレイステーション』を買い、そこに掲載されていた『キノの旅』の広告を目にしたのがライトノベル、そして電撃文庫との出会いでした。それから二十年近く憧れ続けた「電撃作家」の末席に名を連ねさせていただけたこと、心の底から誇りに思います。人生で一番、ラノベにどっぷりだった中高生時代、大好きな作品の定位置は枕元でした。これからは、誰かにとっての「枕元の本」を生み出す作家人生を歩んでいきたいです。最後になりますが、支えてくれた創作仲間、選考に関わった全ての方々、そして家族にこの場を借りて御礼申しあげます。ありがとうございました。

選考委員選評

  • 電撃文庫編集部

    過去の災厄によって大地が浮遊島になった終末世界を舞台に、魔女の女の子と制御ユニットを名乗る不思議な女の子が出会い絆を深めていくガールズファンタジー。ふたりの少女が二十年前に起きた災厄の痕跡を辿るストーリーや過去に向き合いながら進んでいく姿が魅力的で、少女たちの心の距離が縮まっていく展開は尊さを感じさせる作品になっています。
    巨大な飛行要塞や魔女の箒に代わり原付を模した飛行ユニットで空を飛ぶなどロマンのあるSF描写もありスケールも壮大。読めば少女同士の絆の尊さと澄んだ世界観に魅了されること間違いなしです。

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