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オリンポスの郵便ポスト

選考委員奨励賞 電撃文庫

目的地は霊峰・オリンポス。そこは天国に最も近い場所——。
黄昏の火星で、自分の死に場所を探すアンドロイドと郵便配達員の少女が往く、8,635㎞の旅路。

2017/3/24 「読者コメント」追加!
2017/3/10 「著者インタビュー」追加!
2017/2/24 作品の世界観がより深くわかる「用語解説」追加!
2017/2/10 作品詳細ページオープン!

読者コメント
著者インタビュー

読者コメント

推薦コメント

選考委員より絶賛の声!

  • 最終ページをめくりたくない。いつまでも、この物語の世界の中にいたい。そう思ったのはいつ以来だろうか。ものすごい書き手の誕生だ。少女エリスと、ロボット「クロ」の旅路は、それほどに愛おしく、極上のファンタジーに仕上がっている。読後、あなたは、見たこともない希望の光に照らされるだろう。——電撃小説大賞選考委員  神 康幸 (映像プロデューサー/株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長)

story

火星へ人類が本格的な入植を始めてから二百年。この星でいつからか言い伝えられている、ある都市伝説があった。オリンポスの郵便ポスト。太陽系最大の火山、オリンポス山の天辺にあるというその郵便ポストに投函された手紙は、神様がどこへでも、誰にでも届けてくれるという。——そう、たとえ天国へでも。
 度重なる災害と内戦によって都市が寸断され、赤土に覆われたこの星で長距離郵便配達員として働く少女・エリスは、機械の身体を持つ改造人類・クロをオリンポスの郵便ポストまで届ける仕事を依頼される。火星で最も天国に近い場所と呼ばれるその地を目指し、8,635kmに及ぶ二人の長い旅路が始まる——。

character

  • エリス
  • クロ

keyword

  • 火星
  • 火星郵政公社
  • 豆の木《ビーン・ストーク》
  • 隕石嵐《メテオストーム》

著者インタビュー

受賞者に一問一答!

藻野多摩夫 オリンポスの郵便ポスト

PROFIlE


神奈川県出身。趣味はカメラとゆるキャラを求めて列島各地を旅すること。BMI値27.4。

q1受賞作についてご自身から紹介を。

最初にはっきりと言っておかなければいけないことがあります。火星、サイボーグ、軌道エレベーター、といった言葉がこの作品には出てきますが、SFだと思って読むと恐らく「何じゃ、これ」となります。火星を舞台にしたファンタジー、あるいは「ボーイ・ミーツ・ガール」ならぬ「おっさん・ミーツ・ガール」と思って手にしてもらうと幸いです。

q2この作品を書こうとしたきっかけ、あるいは、最初に浮かんだアイデアは?

私、文系ですが、よくインテリぶって科学雑誌のニュートンを愛読しています。2012年に探査機「キュリオシティ」が火星で撮影したという写真が掲載されていました。そこに写された赤い荒野が、私の心の原風景にそっくりでした。こんな場所を旅したら楽しいだろうなぁ、と思ったのがきっかけです。郵便配達員の話になったのは、構想を練っている最中にたまたま郵便ポストの前を通りかかったからです。

q3主人公やヒロインを通して描きたかった人物像とは?

毎日、家と職場との往復。一生懸命やっているはずなのに、上司からは怒られてばかり。何もかもがうまくいかず、日々疲労と虚しさだけが貯まっていく。自分って、仕事をするために生まれてきたのかな。自分の人生って何だろう。そんな我々、社畜の心の叫びが投影されたのがクロという登場人物です。だから、「レイバー(労働者)」なのです。109日間の旅路はレイバーが自らの人生を振り返る道程。旅をともにするエリスはクロにとっては彼の空虚だった人生に意味を与えてくれる存在。そして、エリスにとってクロは、これからの人生を生きていくことに意味を与えてくれる存在です。

q4執筆時に苦労した点または楽しかった点は?

私、文系で、元素記号も正直分かりません。だから、科学考証にはかなり悪戦苦闘をさせられました。舞台となるオリンポス山は標高20キロ以上(エベレストの3倍)なのですが、感動的なラストシーンでヒロインにエアボンベを担がせるのも酷だと思い、普段着のまま登山させたら各方面から総ツッコミを受けました。科学考証とストーリーの両立って難しいですね。

q5執筆にあたりこだわった点は? またそれがどのように反映されているでしょうか?

クロの「おっさん」感を出すことです。そのために、ラジカセやカセットテープという、今の10代の読者には全く馴染みもないであろう小道具も登場させました。そこからに流れる曲も、実は70年代のとあるポップグループをモデルにしたものだったのですが、選考委員の方々に言い当てられてしまいました。さすが皆さん、おっさ……いえ、何でもありません。

q6これまでの投稿歴または執筆歴を教えてください。

小学生の頃は藤子・F・不二雄先生に心酔していて、ドラえもんの続編は自分が描くんだと心に決めていました。創作というものに興味を持ち始めたのはその頃です。でも、実際に長編で小説を書き始めたのは社会人になってから。その動機も、小説で一旗揚げて青山に豪邸建ててやるぜ、とかいう不純で醜いものでした。案の定、落選を繰り返しました。七、八回目の挑戦だと思います。前の年は1次選考落ちでした。

q7これまでの人生で最も印象に残っていることはなんですか?(今回の受賞を除いて)

……ありません。あるわけがないじゃないですか(キレ気味)。陰キャラの碌でもない人生ですよ? ああ、強いて挙げるなら、旅行先の鹿児島で奮発して2000円のトンカツ定食を食べた時ですかね。その後、屋久島でレンタカーを縁石に擦って2万円を弁償させられたのも今ではいい思い出ですね(怒り)。

q8今後書いてみたい作品について教えてください。(続編以外で)

正統派のファンタジーものや異能力アクションのような作品に憧れます。友情、努力、勝利みたいな熱い展開を真正面からやれたらいいかなと企んでいます。その三つとも私にはないものですが。

読者のみなさんへのメッセージ

郵便配達員の少女エリスと老いた改造人類クロの8000キロ以上に及ぶ旅路。ともに重苦しい過去を引きずりながらも、互いに交流を重ねながら大切な何かを見つけていきます。もし、この作品を手に取っていただけたら是非、この二人の旅の終焉まで見届けてほしいと思います。そして、この旅の中に何かを感じてもらうことがあれば幸いです。

オリンポスの郵便ポスト

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