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第29回電撃大賞 受賞作品
受賞作品

【応募総数:4570作品】

イラスト/しぐれうい 電撃文庫『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』(著/二丸修一)       主催:株式会社KADOKAWA

第29回電撃大賞 受賞作品
受賞作品

【応募総数:4570作品】

イラスト/しぐれうい 電撃文庫『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』(著/二丸修一)       主催:株式会社KADOKAWA

電撃小説大賞部門【応募総数:4,128作品】

大賞(正賞と副賞 300万円)

金賞(正賞と副賞 100万円)

彩月レイ

メディアワークス文庫賞(正賞と副賞 100万円)

銀賞(正賞と副賞 50万円)

選考委員奨励賞(正賞と副賞 10万円)

選考委員総評

三雲岳斗(作家)

最終選考に残った作品の数は例年よりも少なかったのですが、各作品のジャンルは多様で、文章力も高く、そのぶん難しい審査になりました。個人的に評価したいポイントは、候補作すべてにそれぞれ魅力的なテーマやアイデアが盛りこまれていたこと。一方で、その魅力を充分に活かせていない作品も目立ち、勿体ないと感じる部分も多々ありました。ほかの選考委員の方々も同じ気持ちだったのか、この作品はここを直せばもっと良くなる、という意見が飛び交う珍しい選考会だった気がします。とはいえ、それも候補となった作品に魅力があればこそ。受賞に至った皆様がこれからも創作の喜びを見失うことなく、素晴らしい作品を書き続けてくださることを願っています。

Profile

作家。第5回電撃ゲーム小説大賞(現・電撃小説大賞)〈銀賞〉を受賞した『コールド・ゲヘナ』でデビュー。同時期に第1回日本SF新人賞、第5回スニーカー大賞〈特別賞〉も受賞。TVアニメ化された『アスラクライン』『ストライク・ザ・ブラッド』(ともに電撃文庫)をはじめ、多数の著作がある。

三上 延(作家)

まずは受賞者の皆さん、このたびは誠におめでとうございます。今回もハイレベルな候補作が揃い、例年同様に悩ましい選考でした。選考委員によって評価が分かれるのも例年同様で、後は議論を重ねてどの作品にどの賞を差し上げるか議論していくことになります。結果的に賞の違いは出てしまいますが、大賞以外の作品であっても高い評価をつける選考委員が必ずいたことを、心に留め置いていただければ幸いです。どなたもプロの小説家として十分な力量をお持ちでいることは、選考委員の一人として保証いたします。ご自分のできること、したいこと、求められていることの狭間にあっても立ち止まらず、長くご活躍されるよう心からお祈りしています。

Profile

第8回電撃小説大賞の3次選考を通過した『ダーク・バイオレッツ』でデビュー。その後、メディアワークス文庫から刊行した『ビブリア古書堂の事件手帖』がシリーズ累計700万部を超えるベストセラーとなり、コミックや映画など様々な媒体でメディアミックスされている。

吉野弘幸(アニメーション脚本家)

本年は最終選考作品が、例年の10作品から6作品にまで絞られて選考委員の手元に届けられました。編集部に変更の理由を尋ねたところ、最終選考に値する作品が少なかったからというわけではなく、あらかじめ絞り込ことで、最終的に受賞作品数を減らし、その分で一本あたりへの宣伝・販売に上積みしたいという、いわば選択と集中の為であるとのこと。充分に理解できる理由ですが、例年10本読んでいたからこそのバラエティ感はやはり薄れ、特に私が思うところの『電撃らしい』作品――私がアニメで手がけさせて貰ったような傾向の作品もあまり残っておらず、個人的には少し寂しい選考となりました。

Profile

TVアニメ「GEAR戦士電童』で脚本家デビュー。『舞-HiME』で初めてシリーズ構成を務め、以後『マクロスfrontier』『アクセル・ワールド』『とある魔術の禁書目録』『ストライク・ザ・ブラッド』等、数々の作品のシリーズ構成、脚本を担当。また、『聖痕のクェイサー』『神呪のネクタール』などの漫画原作も手がける。

小原信治(放送作家・脚本家)

例年に比べエンタメ系より純文学寄りの作品が多く最終選考に残っていたというのが個人的な印象です。孤立社会。格差社会。生き辛さ。誰もが死と隣り合わせの今日を生きていること。疫病でより可視化された社会の闇を題材にその向こうにある光を描こうとしているのを感じました。その割に心を揺さ振られる瞬間は少なかったように思います。炬燵記事ならぬ炬燵文学とでもいうのでしょうか。テレビやSNS上の情報やエピソードの既視感がありました。必ずしも自分の体験でなくともその事象に対する自分なりの視点や主張を明示することで読み手の心を動かす作品にできるのではないかと思いました。

Profile

放送作家・脚本家(株式会社オフィスクレッシェンド取締役)。『ゼロ一攫千金ゲーム』『金田一少年の事件簿』『GO GO HEAVEN自決少女隊』(原作も)等のドラマ、アニメ『サムライチャンプルー』等の脚本や『福山雅治と荘口彰久の地底人ラジオ』等の構成を手掛ける。青葉薫名義でネットドラマ『CQ』、映画『種まく旅人シリーズ』(原案)などの作品も。

黒崎 泰隆(電撃メディアワークス編集部 部長)

今回の最終選考作品は、いつにも増してクオリティの高いものが揃い、またジャンルも多岐にわたっていたため、楽しみながら拝読しました。ですが、いざ賞を決める段になると、非常に困りました。それぞれに優れたポイントがあり、そこに差をつけることが難しかったのです。大賞作については、もっとも綺麗にまとまっていて、完成度が他作品よりもわずかに高かったことが決め手となりました。ですが、私の中ではほとんど横並びで、どの作品が大賞になっても納得できたでしょう。電撃小説大賞は第29回まで続いているにもかかわらず、素晴らしい才能が尽きることなく生まれてくる土壌の豊かさには驚くばかりです。今年もまた、受賞作6本を誇りをもって世に送り出せること、心から嬉しく思います。

Profile

2022年10月に電撃メディアワークス編集部 部長に就任。主な担当作は、電撃文庫『ブラック・ブレッド』『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』『七つの魔剣が支配する』、メディアワークス文庫『太陽のあくび』『路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店』『ちどり亭にようこそ』など。

遠藤 充香(メディアワークス文庫編集長)

第29回も沢山の応募をいただきありがとうございました。例年にもまして多様なジャンルの作品を読むことができ、世に出したいと思える受賞作に出会えたことを嬉しく思います。ここ数年は、ストレスなく読み進められる楽しい応募作が多い印象ですが、電撃小説大賞は、面白ければ何でもあり。ハッとするような着想や、予想もできない驚き、読後放心してしまうほど心動かされるエンターテインメント小説を、来年も楽しみに待っています。

Profile

2021年1月にメディアワークス文庫編集長に就任。主な担当作は電撃文庫『ただ、それだけでよかったんです』、メディアワークス文庫『博多豚骨ラーメンズ』『君は月夜に光り輝く』『破滅の刑死者』など。

電撃イラスト大賞部門【応募総数:280作品】大賞:該当作なし

金賞(正賞と副賞 100万円)

銀賞(正賞と副賞 50万円)

選考委員奨励賞(正賞と副賞 10万円)

選考委員総評

いとうのいぢ(イラストレーター、ゲーム原画家)

ツールの発達などから技術的なレベルが業界全体として年々高くなり、他の人との差別化が難しくなってきています。「一目で本能的にいいと感じる」瞬発力の高い絵が重要になっていて、自分が好きなものをどれだけ突き詰められるかが求められているように思います。SNSなどの発展もあり、正解のない中から「何を選ぶか」がそれぞれの個性になる。皆さんもそのことを感じ取っているのがイラストから伝わってくるのですが、あと一歩、野心や独自性が強調された構図や配色を計算できるようになると、更に注目を集めるだろうと改めて感じる年でした。今年もたくさんの刺激をいただき、ありがとうございました。

Profile

電撃文庫『灼眼のシャナ』のイラストレーションを担当。同作品は3度のテレビアニメ化を果たすなど大ヒットとなった。数々のTVアニメやゲーム原画など、多岐にわたって活躍しており、バーチャルYouTuber『天神子兎音』のイラストなども手がけている。

abec(イラストレーター)

今年も昨年同様、全体にハイレベルな作品が多いと感じました。選考にあたっては、商業イラストとしての「キャッチーさ」や「キャラクターの魅力」に重点を置きました。時代の流れとして、カラーイラストの完成度は総じて高いものの、ツールにあまり頼れないモノクロイラストで技量の差が出て、順位に影響したように思います。「何を伝えたいか。どう魅力的に見せるか」という『もうひと捻り』の部分が、腕の見せ所になると思うので、意識的に取り組み、さらに魅力的なイラストレーターとして活躍していただきたいです!

Profile

電撃文庫『ソードアート・オンライン』のイラストレーションを担当。同作品は4度のテレビアニメ化、さらには2度の劇場アニメ化を果たし、大ヒット記録を更新し続けている。2020年3月には2冊目の画集『ソードアート・オンライン abec画集 Wanderers』を刊行。

loundraw(イラストレーター、作家)

近年インターネットをはじめ「見映えがいい」ことが重視されている結果、技術面は申し分ないのですが、それぞれの個性や好きなものが伝わりづらくなっているとも感じています。そうした中で今年は「電撃文庫の表紙を飾る」ことを念頭に「これからどう進化していくかという余白」の部分を意識しました。皆さん技術は十分なレベルに達していると思うので、独自性や他の方との差別化要素をもっと表現していっていただけると嬉しいです。描き方含め、自分と違う価値観の絵に多く触れられた年でもあり、とても刺激を貰えたので、自分も負けていられないなと思いました。

Profile

『君は月夜に光り輝く』のイラストレーションほか、『君の膵臓をたべたい』など多くの話題作の装画を担当。2019年1月アニメーションスタジオ《FLAT STUDIO》を設立。小説『イミテーションと極彩色のグレー』、漫画『あおぞらとくもりぞら』の執筆、音楽アート集団・CHRONICLEでの音楽活動など多岐にわたる。2021年11月公開初監督映画作品『サマーゴースト』が、「第25回ファンタジア国際映画祭」にて、アニメーションコンペティション部門 今敏賞・審査員特別賞」と「短編アニメーション部門 観客賞・金賞」を受賞した。

黒崎 泰隆(電撃メディアワークス編集部 部長)

今回は、残念ながら大賞作は出なかったものの、技術的に高い応募者&作品が揃ったため、優劣をつけるのが難しく、選考にとても苦労いたしました。完成度という意味では、受賞した方々はどなたも十分なポテンシャルを持っていらっしゃって、作品のクオリティも商業レベルに達してはいるのですが、敢えて言えば、そうした上手下手を度外視した、粗くても突き抜けた個性や熱量、あるいは捻りが、いま一歩足りなかったように感じています。この受賞を機に、みなさんにより高みへと昇っていただき、電撃文庫、メディアワークス文庫、電
撃の新文芸で、素敵なイラストを描いていただける日を楽しみにしています。

Profile

2022年10月に電撃メディアワークス編集部 部長に就任。主な担当作は、電撃文庫『ブラック・ブレッド』『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』『七つの魔剣が支配する』、メディアワークス文庫『太陽のあくび』『路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店』『ちどり亭にようこそ』など。

電撃コミック大賞部門【応募総数:162作品】 大賞:該当作なし

金賞(正賞と副賞 100万円)

銀賞(正賞と副賞 50万円)

つのさめ

選考委員総評

高河ゆん(漫画家)

例年と比べると作品の完成度の面では少しもの足りない印象でしたが、各作品に込められた作家の熱量であったり、期待できる伸びしろは十分に感じられました。大賞こそ出ませんでしたが、受賞したみなさんには兜の緒を締めて、ますます頑張っていただきたいです。また、電撃コミック大賞が今回で休止となることに大きな時代の変遷を感じています。SNSで作品を発表できて、プロになるための道筋が多様化する中、漫画の作り方は劇的に変わりつつあります。描き手はその変化に対応していく必要があると思っています。

Profile

1984年に漫画『若草物語』でデビュー。出版各社で執筆し、代表作に『アーシアン』『超獣伝説ゲシュタルト』『LOVELESS』などがある。原作者としても『悪魔のリドル』(作画/南方純)を手掛けている。幅広い年代の読者から支持を得る、現代を代表する女性漫画家である。

いみぎむる(漫画家)

今回でいったん休止となる電撃コミック大賞ですが、残念ながら大賞は該当なしとなりました。ただ、6つの最終候補作品は完成度に差はあるものの、いずれも強い個性のある作品で読み応え十分でした。特に金賞に選ばれた2作品はすぐにプロでやれるんじゃないかと思える構成力、画力、そして強いオリジナリティがあったと思います。もちろん、銀賞のお二人にも、また過去に受賞した人も含め、電撃コミック大賞出身者が今後の漫画界を大いに湧かせてくれるとうれしいですね。楽しみにしています!

Profile

2006年に第5回電撃コミックグランプリで優秀賞を受賞。その後、漫画『キミに幸アレ!!』でデビューし、『サイトーくんは超能力者らしい』『この美術部には問題がある!』などを手掛けている。『この美術部には問題がある!』は2016年にアニメ化され、現在も電撃マオウにて連載中。

大河内一楼(アニメーション脚本家)

個性的な作品あり、真っ当な作品ありとバラエティに富んでいて面白かったです。10年以上この選考委員をやってきましたが、脚本家の自分としては絵もストーリーもアイデアも、すべて一人でやられている漫画家さんにはリスペクトしかありません。アニメでいうと一人監督? これまで賞をあげられなかった方も多いのですが、作品を完成させただけですごいと思います。ましてや最終選考に残るなんて! 未来がどうなるかは誰にもわからないけれど、僕が作品を読ませてもらったみなさんは才能あります! なので自信をもって描いてください。みなさんの未来をこれからも期待して応援しています!!!

Profile

大学卒業後『少女革命ウテナ』などの小説執筆を経てアニメシナリオの道に入る。『コードギアス 反逆のルルーシュ』『あずまんが大王』『交響詩篇エウレカセブン』ほか数多くのアニメでシリーズ構成や脚本を担当。最近では、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でシリーズ構成を手がけている。

芝村裕吏(ゲームデザイナー、小説家)

これで一度のお別れと思うと寂しい限りではあるが第29回はなかなかの粒揃いの回であった。ストーリーテリングについて目を見張る才能が集まった点は時代の流れか偶然の一致か。受賞者については金銀問わずこのまま連載を取って、大活躍をしてほしいものである。量産能力さえ十分ならプロとして十分な戦闘力があるだろう。プロとは好不調に関係なく一定の量産力を求められるもので、それを5年10年と発揮できるからプロと言える。頑張れ。

Profile

ゲームデザイナーとして、第32回星雲賞メディア部門及び、第5回日本ゲーム大賞優秀賞を受賞した『高機動幻想ガンパレード・マーチ』をはじめ数々の作品に参加。また小説家として『マージナル・オペレーション』ほか数多くの作品を執筆、さらに漫画原作も手掛けている。

飯島直樹(株式会社KADOKAWA コミック第3統括部 第8編集部 コンテンツプロデューサー)

はじめての選考委員でしたが、みなさんの様々な力作を読ませていただき、改めて漫画編集者として考えることがいっぱいありました。たとえば今回最終選考に残った作品は特に作家性が強い作品が多く、この作家性や個性をどうやって世に出していったら面白いんだろう?とかを作品を読みながら考えたりしていました。そういった意味でも将来が楽しみな作家さんたちが出てきたことをうれしく思っており、みなさんと一緒に作品を作っていけるのを楽しみにしています!

Profile

電撃萌王・電撃マオウの創刊立ち上げに参加。その後、電撃マオウの編集長を経て、現職に就任。現在は電撃萌王の編集長も兼任している。主な担当作品は『一撃殺虫!! ホイホイさん』『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ロッテのおもちゃ!』など。

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